ボイスサンプルの作り方ガイド|原稿選びから録音のコツまで初心者向けに解説
ボイスサンプルって、結局なにを録ればいいんだろう?――声優やナレーターを目指す人なら、一度はこの疑問にぶつかるはずです。原稿は自分で書くのか、どんな構成にすればいいのか、録音はスマホでもいけるのか。わからないことだらけで、なかなか最初の一歩が踏み出せなかったりします。
ここでは原稿の選び方から録音環境の整え方まで、初めてのボイスサンプル作りに必要なことをひと通りまとめました。
ボイスサンプルとは?声優・ナレーターの「声の名刺」
ボイスサンプルとは、自分の声の特徴や演技力を相手に伝えるための音声作品です。いわば「声の名刺」であり、声優やナレーターにとって仕事を獲得するための重要なツールです。
オーディションの書類選考では、プロフィールと一緒にボイスサンプルを提出するケースがほとんどです。制作側はボイスサンプルを聴いて、その人の声質や演技の幅、表現力を判断します。
ボイスサンプルが必要な場面
ボイスサンプルは、いろいろな場面で必要になります。
オーディション応募ではほぼ必ず求められますし、声優事務所に応募するときも必須資料です。フリーランスとして営業するなら、クライアントに声を知ってもらうためのツールになります。
それ以外にも、音声SNSやWebサイトに掲載してアピールしたり、声優養成所の入所審査で提出を求められるケースもあります。
プロの声優はどんなボイスサンプルを作っている?
プロの声優のボイスサンプルには、いくつかの共通する特徴があります。
まず、自分の強みが明確に伝わる構成になっています。ナレーション、アニメのセリフ、CMナレーションなど、複数のジャンルを盛り込みながらも、最も得意なジャンルを冒頭に配置している方が多いです。
また、演技の幅を見せる工夫もされています。明るいキャラクターと落ち着いたキャラクター、少年役と青年役など、異なるタイプの演技を組み合わせることで、対応できる役柄の広さを伝えています。
プロのボイスサンプルは1〜3分程度にまとめられていることが一般的です。短い時間で自分の魅力を最大限にアピールする工夫が詰まっています。
ボイスサンプルの基本構成と時間配分
ボイスサンプルを作る際には、構成を事前に考えておくことが欠かせません。限られた時間の中で、自分の声の魅力をうまく伝える必要があります。
自己紹介パートのポイント
ボイスサンプルの冒頭には、簡単な自己紹介を入れるのが一般的です。
含めるべき内容
- 名前(芸名がある場合は芸名)
- 「ボイスサンプルをお聞きください」などの一言
自己紹介は10〜15秒程度に収めましょう。長すぎる自己紹介は、聞く側の集中力を削いでしまいます。明るくハキハキとした声で、第一印象を良くすることを意識してください。
ナレーション・セリフパートの構成
自己紹介の後は、メインとなるナレーションやセリフのパートです。以下のような構成が使えます。
- ナレーション
- 番組紹介風やCMナレーションなど、落ち着いたトーンで実力を見せる
- アニメ・ゲーム系セリフ
- キャラクターの演じ分けを見せる(明るい役・クールな役など)
- 感情表現
- 喜怒哀楽を込めたセリフで表現力をアピール
- 得意ジャンル
- 自分が最も自信のあるジャンルの演技
各パート2〜3種類のバリエーションを用意すると、演技の幅が伝わりやすくなります。
最適な時間配分の目安
ボイスサンプル全体の長さは、1分30秒〜3分が目安です。
| パート | 時間の目安 |
|---|---|
| 自己紹介 | 10〜15秒 |
| ナレーション | 30〜45秒 |
| セリフ(キャラクター演技) | 40〜60秒 |
| 得意ジャンルのアピール | 20〜40秒 |
オーディションによっては「1分以内」「2分以内」など指定がある場合もあります。指定がある場合は、必ずその時間内に収めましょう。
原稿の選び方と作成テクニック

ぶっちゃけ、ボイスサンプルの出来を最も左右するのが原稿選びです。自分の声の魅力を引き出す原稿を選べるかどうかで、仕上がりにかなり差が出ます。
オリジナル原稿を書くメリット
ボイスサンプル用の原稿は、自分で書くのがおすすめです。
オリジナル原稿のメリット
- 自分の声質や得意な表現に合わせた内容にできる
- 著作権の心配がない
- 他の人と被らず、オリジナリティをアピールできる
- セリフの長さやテンポを自由に調整できる
原稿を書く際は、実際のアニメやCM、番組をイメージしながら作ると、リアリティのある仕上がりになります。例えば、架空の商品のCMナレーションや、オリジナルキャラクターのセリフを考えてみましょう。
フリー台本・原稿集の活用方法
「自分で原稿を書くのは難しい…」という方は、フリーで公開されている台本や原稿集を活用しましょう。
フリー台本の探し方
- 声優練習用のフリー台本サイトを利用する
- 著作権フリーの文学作品を朗読用に使う(青空文庫など)
- 声優養成所のテキストを参考にする
フリー台本を使う場合は、利用規約を必ず確認してください。商用利用が禁止されている場合や、クレジット表記が必要な場合があります。
また、フリー台本をそのまま使うのではなく、自分なりにアレンジを加えてみてください。セリフの一部を変えたり、自分の声質に合うように調整するだけで、オリジナリティのある仕上がりになります。
キャラクター設定で演技の幅を見せるコツ
ボイスサンプルでは、複数のキャラクターを演じ分けることで、自分の演技の幅をアピールできます。
演じ分けで気をつけたいこと
年齢の違い(少年・青年・中年など)、性格の違い(元気なキャラとクールなキャラなど)、感情の違い(同じキャラで喜怒哀楽を演じる)、シチュエーションの違い(日常会話と戦闘シーンなど)をバランスよく入れると、演技の幅が伝わります。
ただし、無理に多くのキャラクターを詰め込む必要はありません。2〜3種類のキャラクターを丁寧に演じる方が、クオリティの高いボイスサンプルになります。
セリフの練習にはお題を活用するのも役立ちます。さまざまなシチュエーションのセリフに挑戦することで、演技の引き出しが増えていきます。
- 👉 セリフのお題を見る - アニメや映画のセリフで楽しく練習
ボイスサンプル録音前の練習方法
良いボイスサンプルを作るためには、録音前の練習が欠かせません。ここでは録音前にやっておきたい練習方法を紹介します。ただし、完璧に仕上げてから録音しようとすると永遠に始められないので、「7割できたら録ってみる」くらいの気持ちでいいと思います。
滑舌トレーニングの基本
ボイスサンプルでは、一つ一つの言葉がクリアに聞こえることが欠かせません。滑舌が悪いと、どんなに良い演技をしても聞き手に伝わりません。
基本の滑舌練習
- 五十音の発声
- 「あえいうえおあお」「かけきくけこかこ」を各行3回ずつ繰り返す
- 早口言葉
- 「生麦生米生卵」「東京特許許可局」などを、ゆっくり正確に→だんだんスピードアップ
- 外郎売り
- 声優やアナウンサーの定番練習。長文を滑らかに読む訓練に最適
毎日10分でも続けることで、確実に滑舌は改善されます。
滑舌トレーニングについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:滑舌を良くする方法は?自宅でできる滑舌トレーニングを紹介!
腹式呼吸と声の出し方
安定した声を出すために、腹式呼吸は避けて通れません。
腹式呼吸の練習方法
- 仰向けに寝て、お腹に手を当てる
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませる(4秒)
- 口からゆっくり息を吐き、お腹をへこませる(8秒)
- これを10回繰り返す
腹式呼吸が身につくと、声に芯が生まれ、長いセリフでも息切れしにくくなります。ボイスサンプルの録音時にも、安定した声で演技できるようになるでしょう。
声の出し方で意識してほしいのは、喉を締めずにお腹から声を出すイメージを持つこと。口を大きく開けて明瞭に発音し、声の高低を意識すると表現の幅が広がっていきます。
リップノイズを防ぐ方法
リップノイズとは、唇や口の中が乾燥して発生する「ペチャッ」「パチッ」という音です。録音では特に目立ちやすく、ボイスサンプルの品質を下げてしまいます。
リップノイズの予防法
- 録音前に水を少量飲んで口の中を潤す(大量に飲むと逆効果)
- リップクリームを薄く塗る
- 青りんごを食べると効果的(ペクチンが口内の粘つきを抑える)
- 録音の1時間前からカフェインや乳製品を避ける
- 録音中もこまめに水分を取る
ちょっとした対策で、クリアな音声を録音できるようになります。
朗読練習もボイスサンプルの準備に役立ちます。長い文章を声に出して読むことで、呼吸のコントロールや表現力が磨かれます。
- 👉 朗読のお題を見る - 物語や詩の朗読で表現力と滑舌を磨く
録音に必要な機材と環境づくり

ボイスサンプルの品質は、録音環境によってかなり変わります。予算や目的に合わせて、自分に合った機材を選んでください。
スマホだけで録音する方法
「まずは気軽に始めたい」という方は、スマートフォンだけでもボイスサンプルを作ることができます。
スマホ録音のコツ
- 静かな部屋で録音する(エアコンや冷蔵庫のノイズに注意)
- スマホを口から20〜30cm離して置く
- クローゼットの中や布団で囲った空間で録音すると反響が減る
- 録音アプリは標準のボイスメモでもOK(WAV形式で書き出せるアプリが望ましい)
スマホ録音でも、環境を整えれば十分に聴きやすいボイスサンプルが作れます。まずはスマホで練習用のサンプルを作り、本番ではマイクを使うという段階的なステップもおすすめです。
予算別おすすめ機材(1万円以下 / 3万円以下 / 本格派)
1万円以下:手軽に始めたい方向け
- USBマイク(3,000〜8,000円)
- PCに直接接続できるUSBコンデンサーマイクが便利です
- ポップガード(500〜1,500円)
- 息がマイクに直接当たるのを防ぎ、破裂音(パ行・バ行)のノイズを軽減します
- マイクスタンド(1,000〜2,000円)
- 手で持つと振動ノイズが入るため、スタンドの使用をおすすめします
3万円以下:ワンランク上の音質を目指す方向け
- コンデンサーマイク + オーディオインターフェース(15,000〜25,000円)
- XLR接続のコンデンサーマイクとオーディオインターフェースの組み合わせで、格段に音質が向上します
- ヘッドホン(3,000〜5,000円)
- モニターヘッドホンがあると、録音中の音質チェックが正確にできます
- リフレクションフィルター(3,000〜5,000円)
- マイクの背面に設置して、部屋の反響を軽減します
本格派:プロクオリティを目指す方向け
- ハイエンドコンデンサーマイク(30,000円〜)
- 音の繊細さや解像度が格段に違います
- 高品質オーディオインターフェース(20,000円〜)
- 低ノイズで高品位な録音が可能です
- 吸音材・防音パネル(10,000円〜)
- 部屋の音響環境を本格的に改善できます
最初から全てを揃える必要はありません。まずは1万円以下の機材から始めて、必要に応じてステップアップしていくのが良いでしょう。
自宅の録音環境を整えるコツ
自宅で録音する場合、部屋の環境を整えるだけで音質がかなり変わります。実際にやってみると、機材よりも環境のほうが影響が大きいことに気づくはずです。
反響を減らす工夫
- 厚手のカーテンを閉める
- 本棚や家具がある部屋を選ぶ(物が多い方が音を吸収する)
- 布団やクッションをマイクの周囲に置く
- クローゼットの中での録音も意外と効果的
ノイズ対策
- エアコンは録音中はオフにする
- 窓を閉めて外の音を遮断する
- PCのファン音が気になる場合は、PCをマイクからできるだけ離す
- 録音する時間帯を選ぶ(早朝や深夜は周囲が静か)
完璧な防音室がなくても、これらの工夫で十分なクオリティの録音ができます。
録音のコツとテクニック
機材と環境が整ったら、いよいよ録音です。ここでは、仕上がりに差が出る録音のコツを紹介します。
高音質で録音するためのポイント
録音設定
- サンプリングレート:44.1kHzまたは48kHz
- ビット深度:16bitまたは24bit
- ファイル形式:WAVまたはFLAC(編集後にMP3やAACに変換)
マイクの使い方
- マイクと口の距離は15〜25cm程度を保つ
- マイクの正面(カプセルの向き)に向かって話す
- 近づきすぎると低音が強調される(近接効果)ので注意
- ポップガードは必ず使用する
録音時の心構え
- 1テイクで完璧を目指さず、複数テイク録音する
- テイクの間に数秒の無音を入れると、後の編集が楽になる
- 録音レベルは-12dB〜-6dB程度を目安に設定する(音割れを防ぐ)
- 本番前にテスト録音で音量やノイズを確認する
自宅録音 vs スタジオ録音の比較
| 項目 | 自宅録音 | スタジオ録音 |
|---|---|---|
| コスト | 機材代のみ | 1時間3,000〜10,000円程度 |
| 音質 | 環境次第で良好 | プロ品質 |
| 手軽さ | いつでも可能 | 予約が必要 |
| 機材 | 自前で用意 | 高品質な機材が揃っている |
| 防音性 | 工夫が必要 | 完全防音 |
初心者の方は、まず自宅で練習と録音を重ね、ここぞという場面でスタジオを利用するのがコスパの良い方法です。本格的なオーディション用のボイスサンプルを作る際は、スタジオ録音を検討しても良いでしょう。
音声編集の基本
録音した音声は、簡単な編集を加えることで、よりプロフェッショナルな仕上がりになります。
おすすめの無料編集ソフト
- Audacity:
- 無料で高機能な定番ソフト。ノイズ除去や音量調整が簡単にできます
- GarageBand(Mac/iPhone)
- Apple製の無料音楽制作ソフト。直感的な操作で編集可能
基本的な編集手順
- 不要な部分のカット
- 言い間違いや長すぎる間をカットする
- ノイズ除去
- 背景ノイズを軽減する(Audacityのノイズリダクション機能が便利)
- 音量の正規化(ノーマライズ)
- 全体の音量を均一に整える
- コンプレッサー
- 音量の大小差を整えて聞きやすくする
- 書き出し
- MP3またはWAV形式で書き出す
編集はあくまで補助的なものです。過度な加工は不自然に聞こえるため、「聞きやすく整える」程度に留めましょう。
ボイスサンプルを活用してスキルアップしよう
ボイスサンプルは作って終わりではありません。積極的に活用することが、次のステップにつながります。
ボイスサンプルを公開してフィードバックを得る
自分のボイスサンプルを第三者に聴いてもらい、客観的なフィードバックを得ることは、上達への近道です。
フィードバックをもらう方法
- 声優仲間や先輩に聴いてもらう
- 声優養成所の講師に聞いてもらう
- 音声SNSに投稿して、幅広い意見をもらう
- オンラインコミュニティで共有する
フィードバックを受けるときは、良い点だけでなく改善点もしっかり聞くようにしてください。自分では気づかない癖や、もっと伸ばせる部分が見つかったりします。最初は耳が痛い指摘もあるかもしれませんが、それが地味にいちばん成長につながるんですよね。
音声SNSを活用した練習法
ボイスサンプルのクオリティを上げるには、日頃からたくさん声を出して練習するのが一番です。音声SNSは、楽しみながら実践的な練習ができる場として向いています。
人に聴かれることを意識して練習できるので本番感覚が身につきますし、他のユーザーの演技を聴いて学ぶこともできます。いいねやコメントがモチベーション維持にもなります。
coemeeにはナレーション、セリフ、朗読などさまざまなお題があるので、ボイスサンプル作りの練習台として活用してみてください。投稿を続けていけば、自分の成長記録にもなります。
まとめ
ボイスサンプル作りで覚えておきたいことを3つだけまとめます。
- 構成と原稿が8割
- 自己紹介→ナレーション→セリフの流れを1分30秒〜3分にまとめ、自分の声質に合った原稿を用意する
- 環境を整えてから録る
- スマホでも始められるが、静かな場所を確保するだけで仕上がりがまるで違う
- 作ったら人に聴いてもらう
- フィードバックをもらって更新するサイクルが、いちばんの上達法
最初から完璧なものは作れません。まずはスマホで1本録ってみて、そこから少しずつ磨いていってください。
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