声劇台本の書き方|初心者向けシナリオ作成ガイド
声劇台本とは
声劇の台本は、演者が声だけで物語を表現するための設計図です。映像作品の脚本とは異なり、視覚的な情報に頼れないぶん、セリフとト書きだけでキャラクターの感情や場面の空気感を伝える必要があります。
特別な資格は不要で、基本のフォーマットとストーリー構成の考え方を押さえれば、初めてでも形になります。ここでは、台本の書き方を具体的に見ていきます。
声劇台本の基本フォーマット
声劇台本には、演者がスムーズに演じられるように一定のフォーマットがあります。まずは構成要素を把握しておきましょう。
台本の構成要素
声劇台本は、主に以下の要素で構成されます。
- タイトル
- 作品名と作者名を記載します。
- 登場人物紹介
- キャラクターの名前、年齢、性格、関係性などを簡潔にまとめます。
- 場面設定
- 物語の舞台や時間帯を示します。
- セリフ
- 各キャラクターが話す言葉です。キャラクター名の後にコロンを付けて記載します。
- ト書き
- 場面の説明や演者への演技指示を記載します。カッコで囲むのが一般的です。
フォーマット例
基本的な書き方は以下の通りです。
キャラクター名の前に統一した記号を使い、セリフとト書きを明確に区別するのが基本です。ト書きは丸カッコやカギカッコの二重括弧で囲み、セリフと混同しないようにしましょう。
また、場面が変わる際には区切り線や場面番号を入れると、演者が流れを把握しやすくなります。
キャラクター設定の作り方
魅力的な声劇台本の核は、演者が「演じたい」と思えるキャラクターです。筆者も最初のうちは設定を作り込むのが面倒で、なんとなくの性格だけ決めて書き始めていましたが、それだとセリフがどのキャラのものか区別がつかなくなるんですよね。
キャラクターの基本設定
キャラクターを作る際は、以下の項目を決めておきましょう。
- 名前
- 呼びやすく、覚えやすい名前にする
- 年齢・性別
- 声のイメージに直結する重要な要素
- 性格
- 一言で言い表せる特徴を持たせる(例:「お人好しだけど頑固」)
- 話し方の特徴
- 口癖、語尾、テンポなどを設定する
- 他のキャラクターとの関係性
- 対立、友情、恋愛など
キャラクターを立たせるには
声劇にはビジュアルがないため、声だけでキャラクターを区別してもらう必要があります。ここで差がつくのが、キャラクターごとの「話し方」の設計です。
丁寧語で話すキャラクターとフランクな口調のキャラクター、早口なキャラクターとゆっくり話すキャラクター――聴いただけで誰のセリフかわかるくらいの差をつけるのが理想です。ただし、差をつけすぎてわざとらしくなるのもNGなので、バランス感覚は必要になります。
各キャラクターに「何を望んでいるか」「何を恐れているか」を設定しておくと、セリフに一貫性が生まれ、物語全体に推進力が出ます。

ストーリー構成のコツ
声劇台本のストーリーは、聴いていて飽きない構成が求められます。映像がないぶん、展開のテンポが鈍ると聴き手の集中が切れやすいという弱点があります。
起承転結を意識する
物語の基本構成である「起承転結」は、声劇台本でも有効です。
- 起
- 登場人物と状況を紹介する。聴き手を物語の世界に引き込む導入部分。
- 承
- 物語を展開させる。キャラクター間の関係性や問題を深掘りする。
- 転
- 予想外の出来事や転換点を置く。物語の最も盛り上がる部分。
- 結
- 物語を締めくくる。聴き手に余韻を残す結末。
初心者におすすめの構成
初めて台本を書く場合は、まず5〜10分程度の短編から。長編よりも完成させやすく、構成の練習にもなります。キャラクターは2〜3人に絞り、テーマもひとつに限定するのがコツです。
あと、意外と見落としがちなのが結末の決め方。先に結末を決めてから書き始めないと、途中で話が迷走して書き上げられなくなることがけっこうあります。
声劇ならではの構成テクニック
声劇は映像がないため、状況説明をセリフやナレーションで補う必要があります。ただ、説明的なセリフばかりだと不自然になるので、会話の流れの中にさりげなく織り込むのがうまいやり方です。
たとえば「この暗い森を抜ければ街に着く」というセリフは、今いる場所とこれからの行動を自然に伝えています。こういった「説明っぽくない説明」を書けるようになると、台本の質が一段上がります。

セリフとト書きの書き方
声劇台本の質は、セリフとト書きのバランスで決まるといっても過言ではありません。
良いセリフとは
声劇のセリフで意識したいのは、まず自然な会話調であること。書き言葉として読めても、実際に口に出すと引っかかる表現は意外と多いです。
そのうえで、キャラクターならではの言い回しや語彙を使い分けること、状況説明と感情表現を適度に混ぜること、長すぎるセリフを避けて掛け合いのリズムを保つこと。この4つを意識するだけで、セリフの質はだいぶ変わります。
セリフを書くときの注意
実際にセリフを書くときは、声に出して読みながら進めてください。目で読んで自然でも、口にすると違和感があるケースは想像以上に多いです。
また、同じ意味のセリフでも、キャラクターによって言い方を変えましょう。「ありがとう」一つとっても、「ありがとな」「感謝します」「サンキュー」など、キャラクター性を反映した表現を選びます。
ト書きの書き方
ト書きは演者への指示や場面説明を伝えるものですが、書きすぎると演者の自由度を奪ってしまいます。必要最低限の情報に絞り、解釈の余地を残すのが鉄則です。
「怒りを抑えながら」「涙をこらえて」のように感情の方向性を示す指示は、声の演技に直結するので入れておきましょう。効果音(ドアが開く音、雨の音など)や、重要な場面での「間」の指示も忘れずに。逆に「ここで右を向いて」のような声に関係ない動作指示は、声劇では不要です。
実践:短編台本を書いてみよう
ここまでの知識を活かして、実際に短編台本を書いてみましょう。
【ステップ1】テーマを決める
まずは身近なテーマから始めましょう。「友人同士の何気ない会話」「偶然の再会」「ちょっとした謎解き」など、シンプルなテーマがおすすめです。
【ステップ2】キャラクターを作る
2〜3人のキャラクターを設定します。名前、性格、話し方の特徴、関係性を簡単にメモしましょう。
【ステップ3】あらすじを書く
3〜5行程度のあらすじを書きます。起承転結を意識して、物語の流れを整理しましょう。
【ステップ4】セリフを書く
あらすじに沿ってセリフを書いていきます。最初は完璧を目指さず、とにかく最後まで書き上げることを優先しましょう。
【ステップ5】推敲する
書き上げた台本を声に出して読み、不自然な部分や間延びする箇所を修正します。自分だけだと気づけない部分も多いので、可能であれば他の人に読んでもらってフィードバックをもらうのが理想です。
セリフ練習用の台本を読んで、他の人の書き方を研究するのも勉強になります。
自作台本を発表してみよう
オリジナル台本が完成したら、どこかで発表してみるのが次のステップです。一人で複数キャラクターを演じ分けて投稿するもよし、メンバーを募って複数人で演じるもよし。coemee(コエミー)のような音声コミュニティを使えば、投稿した作品にリスナーから感想がもらえるので、次の台本を書くモチベーションにもなります。
ライブ配信でリアルタイムに声劇を上演するという方法もあり、視聴者とのやり取りから新しいアイデアが生まれることもあります。
まとめ
最初から完璧な台本を書ける人はいません。フォーマットを押さえて、キャラクターに個性を持たせて、短い作品をひとつ書き上げる。それだけで十分です。書いたら声に出して読み返し、不自然な箇所を直す。この繰り返しで、少しずつ台本の精度は上がっていきます。
まずは2〜3人のキャラクターで5分程度の短編を1本仕上げてみてください。書くことで見えてくるものが必ずあります。
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