朗読台本「おじいさんサンタ」

﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ 子どものころ サンタクロースは決まって 白いひげのおじいさんだった。 それを疑う理由なんて 持っていなかった。 でも大人になった今ふと思う。 なぜ「おじいさん」だったんだろう。 なぜずっと同じ顔で同じ年齢で 世界中を回り続けていることに なっているんだろう。 優しさには年齢が必要だったのだろうか。 包容力を説明するために 長いひげと深いしわが 選ばれただけなのかもしれない。 もしかしたら サンタは若い人かもしれないし 女性かもしれないし 名前すら違う誰かかもしれない。 それでも 「信じてもいい存在」として 私たちは一番わかりやすい形を 勝手に当てはめただけなのだ。 大人になって 夢を現実で測るようになった 今だからこそ思う。 本当に大切だったのは 赤い服のおじいさんじゃなく 誰かが誰かを想って動く その行為そのものだったんだ。 私は問いかける。 サンタは おじいさんだけだったのかと。 そして同時に 今の自分は 誰かのサンタに なれているだろうかと。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌