題名『ボダイジュ』 花言葉:結婚、熱愛、夫婦愛、結ばれる、結ばれる愛。 ふんわりBL風味の、なんちゃって江戸っ子です。色々間違ってると思いますので、雰囲気で読んで下さい。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 *•*¨*•.¸¸:.*゜ 甲「おい!【二人称】、もう聞いたか?」 乙「藪(やぶ)から棒(ぼう)に一体(いって)ぇ何でェ? 挨拶も無しによォ」 甲「いいじゃねーか。【一人称】と【二人称】の仲だろィ」 乙「《溜息》で、如何(どう)したんでェ?」 甲「こねぇだの刃傷沙汰(にんじょうざた)の詳細が知れた」 乙「こねぇだのったら、アレか?『登花楼(とうかろう)』の、部屋持(へやもち)を取り合って、って」 甲「然(そ)う、然(そ)う。それヨ!」 乙「なんでも、部屋持(へやもち)にしとくにゃ勿体ねぇ、美(い)い女だったんだろィ?」 甲「そうだ。で、その取り合った男二人ってのが……、実の親子だったって話だ《コソッ》」 乙「はぁ!? そりゃまた、なんてぇ業(ごう)の深ぇ話でィ!」 甲「だろィ? 色恋にゃ、親も子も無ぇってことかねェ。くわばら、くわばら」 乙「かもなァ……。して、その部屋持(へやもち)、確か『鶴橋(つるはし)』って名前の遊女(おんな)だったか? 其奴(そいつ)は、どうなったんでェ?」 甲「ああ……、それがよォ……」 乙「おう……」 甲「鞍替(くらがえ)すんだとヨ」 乙「やっぱりそうかィ。どねぇに美(い)い女でも、こんな世間を騒がす大事件の元兇(げんきょう)となっちゃ、河岸(かし)の切見世《きりみせ》に落ちても、しょうがねぇわなぁ……」 甲「逆だよ。逆、逆」 乙「は? 逆? 逆……てぇと、つまり?」 甲「評判聞きつけた目抜き通りの大見世(おおみせ)が、三顧(さんこ)の礼を尽くして、迎えるんだってよ。ついでに位(くらい)も、昼三(ちゅうさん)に格上げだと」 乙「《溜息》そら大(てぇ)した出世だ!」 甲「全くよ!」 乙「てこたァ、鞍替(くらがえ)したら、女は同じでも、今よりずんと銭が掛かるようになる、ってぇことか」 甲「そういうこった。んで、名前にも箔を付けようってんで、改名すんだと」 乙「へぇー。なんてぇ名前になんでィ?」 甲「鶴に寿(ことぶき)と書いて、『鶴寿(かくじゅ)』だとよ」 乙「『鶴寿(かくじゅ)』か。縁起(えんぎ)を担(かつ)いだ好(い)い名前じゃねぇか! それに、字は違うが、覚樹(カクジュ)っつったら、あの菩提樹(ぼだいじゅ)の別名だぞ? 随分と御大層(ごたいそう)な名前を貰ったモンだなァ」 甲「確かに。だが、手前(てめぇ)を取り合って死んだ、父息子(おやこ)の菩提を弔(とむら)うにゃ、これ以上無ぇ、打って付けの名前かもしれねぇぞ?」 乙「違(ちげ)ぇねぇ! んじゃ、銭が掛かる前に、揚(あ)がって来(く)っか!」 甲「止(や)めとけ、止(や)めとけ。今から行ったって遅ぇよ。どうせ今頃、噂聞きつけた奴等が、大勢詰めかけてっだろうよ。で、着いた頃にゃ、予約なんざとっくに埋まってらァ!」 乙「あー、それもそーか……」 甲「それに【二人称】の給料じゃ、今の見世でも揚がれやしねぇヨ《笑》」 乙「酷(ひで)ぇ言われようだなァ!? いきなり何でェ!【一人称】、【二人称】に何かしたかィ?」 甲「特に何も」 乙「てこたァ、純粋なただの悪口って事じゃねぇか! なんて奴でェ!」 甲「悪ィ、悪ィ。そーいや甘酒買って来たんだった。飲めよィ」 乙「……こんなモンで、機嫌が直ると思うなヨ! あーあー、すっかり温(ぬる)まっちまって。これじゃあ井戸に吊るして、冷やし直さなきゃ美味(うま)くねぇじゃねぇか……」《井戸に吊るしに行く》 甲「……滅茶苦茶直ってるじゃねぇか。《微笑》たく……相変わらず、現金な(かわいい)奴だねェ……」 乙「あ? なンか言ったか?」 甲「あー……この家に、生姜(ショウガ)ってあったか? と」 乙「あ、丁度切らしてたんだった! ひとっ走り行って買って来らァ!」 甲「いや、【一人称】が買って来らァ。甘酒買って来たなァ【一人称】だからな。それに、甘酒の番をする奴が居ねぇといけねぇだろィ?」 乙「それはまあ……。なら、言葉に甘えるわ」 甲「おう! じゃ、ちょいと行って来らァ!」 乙「おう。気ィ付けてな」 甲「おうよ!」 乙「《溜息》……大莫迦野郎(おおばかやろう)が《照れたように小声で言う》」 *•*¨*•.¸¸:.*゜ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。
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