登場人物:ぼく(先輩) 形式:一人語り/朗読用台本 "偶然のいたずら"と"ないしょばなし" ------------------------------------- 放課後の図書室、誰もいないと思ってたのに 君がいた。 机に伏せたまま、うとうとする君の姿に胸が痛む。 どうしてこんなに、目が離せないんだろう。 声をかければ、君は笑ってくれるだろう。 けれど、その笑顔を見たら…… ぼくは、きっと隠しきれなくなる。 君に向ける気持ちを、抑えきれなくなる。 偶然のいたずら。 そう思えば、すれ違いも、この距離も 受け入れられる気がする。 でも、夕陽に照らされた横顔を前にして、 心は素直になりたがってしまうんだ。 ――「先輩も……ここに来てたんですね」 不意に聞こえた君の声に、ぼくは笑ってみせる。 "君に会えて、嬉しいよ" 微笑みの裏で飲み込んだ言葉は ぼくの心の中だけの、ないしょばなし。 --------------------------------------
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