《作者より》 雨雲の境目ってどうなっているか、子供の頃気になりませんでした…? 《ルール》 思い思いの解釈で、自由にお楽しみください。 一人称や言い回しの変更もOKです。 《お知らせ》 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローのほど宜しくお願いします。 ***《ここから台本》*** 窓ガラスに打ちつける水滴を ぼんやりと眺めていた午後 灰色の空は均一に広がっているのに 雨だけがどこかまばらで 遠くの、建物の向こうだけが白く煙っていた あそこは、きっと強く降っている こちらは、ただ静かに濡れている でも、その境目を、私は知らない 地図の上なら線は引ける ここから先が降水地域、といった具合に でも実際そこに立ってみれば 降っているのか、いないのか 空はただ曖昧だ 私は、そういうところにいる 「優しそうだね」 誰かが言った 多分、その人にはそう見えたのだろう でも、優しさの端なんてどこにあるんだろう 私だって誰かを嫌いになる 言葉にしないだけで、心の中では 今までに何度も、誰かを突き放してきた 「可愛いね」 別の誰かが言った 私の内側を全部見せたら それでも同じ言葉を 同じ温度で言えるのだろうか 人はきっと、誰かの端しか見ていない 触れているのは、その人の一部だけで だから優しいとも言えるし、可愛いとも言えるんだ 窓を少し開けると、湿った空気が流れ込んで 遠くの雨が、少し近づいた気がした ここはもう雨の中かもしれないし まだ端にいるだけかもしれない 「……どっちでもいい、か」 境目が曖昧だから、私はここにいられる どちらかに決められてしまったら、きっともっと息苦しい 優しいのか、そうでないのか 可愛いのか、そうでないのか そのどちらでもない場所で、私は静かに濡れている ***《ここまで台本》***
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