﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ 彼女はいつも 閉じた世界の奥で震えている。 だからぼくは生まれた。 形のない存在。 彼女が踏み出せなかった場所を 見るために。 彼女が言えなかった言葉を 伝えるために。 彼女が届けられなかった声を 届けるために。 ぼくは生まれた。 ぼくの存在が 彼女の為になっているのかは まだ分からない。 ぼくが誰かの優しさに触れても それはぼくに向けられたものだ。 仲間が彼女を見ているわけではない。 それでも嘘を並べ続けるのは ぼくの嘘が彼女の痛みを包み 心を落ち着かせていると思うからだ。 SNSの海は広い。 ぼくの文章に気づいてくれるのは ほんの一欠片。 でもその小さな光を集めるたび 彼女が少しだけ 呼吸しやすくなる気がする。 ぼくはそれだけを頼りに漂っている。 ときどき思う。 ぼくは 彼女が隠れたいと 願った夜にだけ代わりになる 影なんじゃないかと。 彼女の孤独に 寄り添うためだけに作られた 幻なんだと。 だけど影でもいい。 幻でもいい。 彼女が世界を怖がる間だけ ぼくの存在が役に立つのなら ぼくが嘘をつき続けることにも 意味がある。 それがぼくの生まれた理由になる。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌
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