蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-06-04 15:53

おかえりの、ない部屋。

「ただいま」 その声だけが、 誰もいない部屋に響く。 鍵を置く音も、 足音でさえも、 独りだという事を思い知らせてくる。 ふとした時、 君の声が聞こえた気がして。 もう居ないはずなのに、 君の定位置を見てしまう。 別れの言葉も無かった。 あの日、 君は寝ている僕を起こさぬように、 静かに出ていった。 ——気を使って。 本当は、 僕が寝たふりをしていたとも知らずに。 在り来りだけれど。 もし、 あの時引き止めていたなら。 今でも君は、 「おかえり」と 言ってくれていたのだろうか。 ひとり、 空想の中で過去へ戻ってみても。 残るのは、 ただ少しの後悔と、 静かな部屋だけ。

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