いつも遊んでいただきありがとうございます。陸奥です。 お題11作目ですが、先日とても素敵な企画を見つけ、勢いにまかせて原稿と音声を投稿したワケですが、この度、企画主様とコンタクトをとり、コエミーさんにも投稿する許可をいただきましたので、改めて、お題として投稿します。 今作品は、Xにてトロメニカ(鈴下たと)【@toromenika】様が企画されました、 #出だし固定台詞企画 という企画に出品したものとなります。 『ひとつだけ、約束してほしいことがあるんだ。』を出だしの台詞として、その後の展開はお任せするというものでした。 で、これまで同様、陸奥の『癖』を出したものとなっております(笑) 今後も不定期に開催されるとのことで、気になった方はXにて要チェックです!! 実際に企画に参加したくなったという方は、要項を確認の上、いざ出陣!! さて、以下、本文です。 ------------- ひとつだけ、約束してほしいことがあるんだ。 俺の目の前で、悲しさなんか微塵も感じさせない顔でそう告げた。 ニスログ。それがアイツの名前だ。 正直なところ、どうしてこんな奴が悪魔をやってるのか理解できなかった。それほどまでに『悪魔らしく』なかった。 性格や言動がいちいち癪に障った。悪魔らしくないから。 -いや、正反対だったから、だろうな。 天使の俺のほうが悪魔らしいから。アイツのほうが天使じゃねぇか。そう思えたからだ。 天使が暴れん坊で、悪魔が素直ってなんだよ。普通は逆だろうが。 欲望に忠実な天使なんざ罰当たりにも程があるだろ。恐怖の対象が天使なんてそりゃもう悪魔だろうが。 『キミが一緒なら、ボクは何処にだって行ける。』 俺の片翼を力強く掴んで、その目を輝かせながら言った。輝いて見えたのは、多分、アイツの涙のせいだ。 そうかよ。 無意識に吐き出した言葉は、俺らしかっただろうか。アイツの片翼を、そっと掴んだ。 白が黒へ。黒が白へ。 天使も悪魔も、そこは共通だ。お互いの存在を証明する、自己たらしめるその翼は、命、魂と同義だ。 -だから、これは。 『ぺオール。また友達になってくれる?』 わかったよ。 ちゃんと言えただろうか。まぁいいさ。 アイツの綻んだ顔がなによりの証だろう。 全く、最期まで欲のない奴だ。 重なった呼吸の音に続いて、その翼を引き抜いた。 羽根が舞った。お互いを抱き抱えるように倒れこむ。月の中に、白と黒の螺旋が伸びていた。薄れていく意識の中、俺は思った。 -悪くない。この静けさが心地よかった。 約束したぜ。ひとつだけ、な-。 ---------- 以上となります。 皆様の投稿をお待ちしております!
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