登場人物:ぼく(先輩) 形式:一人語り/朗読用台本 ------------------------------------- 君の背を追いながら歩く夜の浜辺。 波がさらうたび、足跡は消えていくのに、 胸の奥では確かに並んで残っている。 海面に散る光は、 触れれば砕ける粒のようで。 その儚さが、なぜか君と重なって見えた。 逃避行なんて呼べるほど 遠くへは行けない。 それでも、この闇の中でだけ、 肩を並べられる奇跡にすがってしまう。 近づけば壊れると知りながら、 離れれば闇に溶けてしまう。 そのあわいで揺れる光こそ、 今の君であり、ぼくのすべてだった。 そして夜は、 まだ静かに光を揺らしている。 -------------------------------------
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