題名:『知足(ちそく)』 原典:グリム童話『灰かぶり』+老子『臨機応変』 Xのお題で書かせて頂いた台本です。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 ✽.。.:*・゚ まったく〔いいざまだね/ざまぁないね〕、お二人さん。 どうも、お初にお目にかかります。【一人称】はいわゆる、おとぎ話の中の魔法使いです。 お二人には、義理の妹君を、姫君に変えた……と言った方が、分かりよいでしょうか? 《微笑》 ……しかし、なんであんなことしちゃったんです? 義理の妹君が羨ましかったですか? ボロを身にまとっていても、自分達よりもずっと美しく気高い心を持って、人間らしい顔をして毎日を生きている、義妹が……。 『足を知るは第一の富(ちそくはだいいちのとみ)』 これは、異国の経典の中に書かれている言葉です。 他人の持ち物に手を出さなきゃならない程、卑(いや)しい生活はしてなかったはずだ。 自分の手の中にある幸せを、目一杯大切に育てていれば……、この物語の結果は、変わっていたはずなのに……。 自分の人生さえも〔ちゃんと/ろくに〕生きれていない人間が、他人の人生を生きようとすれば、無理が生じて当然なんですよ。 その結果が、その足でしょう? 上の姉君はかかとを、下の姉君はつま先を……。 あーあー、綺麗な足だったでしょうに、こんなにしちゃって……勿体ないこと……。 〔ですが/でも〕、哀れみはしますが、同情はしませんよ。 ま、せめてもの情けに、血止めぐらいはしてやりましょうかね。よいせと。 ……これでよし。 いい義足職人か、靴職人と出会えることを祈っていますよ。 ……は? 治す? 《大笑い》莫迦(ばか)言っちゃいけませんよ……。 なんで【一人称】が、【二人称複数形】の足を治さなきゃいけないんです? 【一人称】の大切なあの子に、酷い仕打ちをして来た人間の足を……。 ……知らないとでも思っていましたか? あの子の母親に、自身の死の間際に託された時から、【一人称】はずーっと、あの子の影の保護者だったんですよ。 まー随分と、やりたい放題やってくれてましたよねー? まさか……この期(ご)に及んで……「忘れた」なんて、言いませんよねー? ……ま、なんと言おうが、やることはやるんだけどさ……。 あー安心しなさい。さすがに命までとりはしないよ……。命までは、ね。 さ、ほらアンタ達……あの綺麗な目玉をえぐり出しておやり……。《2羽のハトに襲わせる》 ……《小さく息を吐く》いい加減懲りたろーし、今回は片目で勘弁してやろう。 だが……、次はないと思え……。いいな? ……宜しい。以後は、他人を羨まず……己の手の中にある幸せを、大切にして生きよ……。 さらばだ……。 ✽.。.:*・゚ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。 また、細心の注意を払ってはおりますが、誤字脱字などが有りましたら、是非、台本のコメントにてお知らせ頂ければと存じます。ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い致します。
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