表紙もタイトルも書いていないハードカバーの本。 なぜか開かれていたその本のページに、つがいのホタルとミツバチが止まっていた。 燭台(しょくだい)に灯(とも)るロウソクは、暗い部屋にあたたかな光を醸(かも)し出している。 とてもゆっくりと時間(じかん/とき)が流れる。 ホタルとロウソクの明かり。 その光を満喫するかのようにミツバチも開かれたページを歩き回り、冒険を楽しんでいるようだった。 刹那、一陣の風が吹き、カーテンが激しく揺れた。 ロウソクの火は消え、燭台がページに倒れ込む。 驚き、飛び立とうとしたつがいのホタルとミツバチを捉(とら)えるかのように、 そのページは閉じてしまった。 風により開かれた1ページ目は、 明かりの消えた部屋を透写したように、真っ黒だった。 しばらくすると、文字が浮かび上がってきた。 『全ての明かりが燃え尽きた今、暗闇だけが支配する。 だがしかし… これは、リゾレアの再生(はじまり)の物語。』 と。 風は止(や)んでいる。 だが、表紙はそっと閉じられた。 表紙にもまた、文字が浮かび上がる。
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