えーっと、俺の席は… …。 ……。 えぇぇぇぇぇっ!? うそぉぉぉ!! 隣の席、豚山《ぶたやま》 五里子《ごりこ》ちゃんじゃん!! 俺の好きな子なんだけど! あの、たくましい上腕二頭筋《じょうわんにとうきん》!! 彫りの深い目は影で覆《おお》われて、瞳の位置が分からない!! 咳き込む時は、いつも… 「うほっ、うほっ。」 そして、バナナをこよなく愛する乙女!! 丸太みたいな腕も、俺には天使の翼に見える!! キュート過ぎて、まじキュンキュンキュン 好き過ぎて滅《めつ》!! 神様、ありがとうございます!! …って、待てよ。 落ち着け、俺。 まだ、席が隣になっただけジャマイカ…。 ぷっ…。 ダジャレも冴えてる!! 今日は行ける!! 行けるぞ、俺!! 「豚山さん、クッキー食べる?」 …。 ……。 無反応だと!? あれ…、 もしかして、俺、嫌われてる!? くそぉ…。 こうなれば、奥の手を…。 「クッキー嫌いかな?…バナナはどう?」 …。 ……。(パクっ) 食い付いたぁぁぁ!! 見ろよ、この幸せそうな笑顔!! 愛しの五里子ちゃん!! いと尊死《とうとし》…。 んっ…? 五里子ちゃんが、机に伏せてる…。 もしかして…。 俺の隣が退屈なのか…。 うわぁ…、印象、最悪じゃん…。 待て、五里子ちゃんが、こっちを見てる…? いや、窓の外を見てるのか? 彫りが深過ぎて、瞳の焦点が分かりにくい… も、もしや…、 「バナナ、おかわりいる?」 …。 ……。(パクっ) 食い付いたぁぁぁ!! バナナのおかわり待ちだったのか!! 可愛いぃぃぃ!! あぁ、好きだ!! 好き過ぎる!! 「俺が、一生分のバナナを買います!!だから、付き合って下さい!!」 教室に響き渡る、突然の俺の告白に、クラス中の視線が集まる。 五里子ちゃんは、その視線も気にせず、真っ直ぐ俺を見つめ、こう言った。 「バナナくれるなら、付き合うよ。」 やったぁぁぁぁ!! …と思った、その時。 「でも、浮気したら食べる。」 …えっ? こうして俺は、世界一可愛くて、世界一たくましい彼女と付き合うことになった。 ちなみに、彼女とのデート代は、そのほとんどがバナナの消費で消えていく。 でも、幸せなら、それでいい。 「うほっ、うほっ。」
最初の回答者になってみませんか?