小鳥遊 詩音小鳥遊 詩音2026-08-22 04:43

❉記憶の七つの罪

ひとつ目は、忘れる罪。 時間とともに昨日の声が薄れていく。 ふたつ目は、見落とす罪。 そこにあったはずの瞬間を、 見ないまま通り過ぎる。 三つ目は、思い出せない罪。 確かに知っているのに、 名前だけが、喉の奥で止まってしまう。 四つ目は、取り違える罪。 誰かの言葉を、 自分の記憶だと思ってしまう。 五つ目は、書き換える罪。 誰かに聞いた物語が、 いつの間にか、僕自身の思い出になる。 六つ目は、偏る罪。 今の僕の気持ちが、 過去の景色の色まで変えてしまう。 そして七つ目は、忘れられない罪。 消したい記憶ほど、 消えてくれない。 でも考えてみれば、 完全な記憶なんて、 本当に必要なんだろうか。 忘れるから、前を向ける。 間違えるから、物語になる。 僕たちは過去を保存しているんじゃない。 そのたびに、 「今の僕」に必要な形へ、 過去を作り直している。 だから記憶の罪は、 人間の欠陥じゃない。 たぶんそれは、 僕が僕であり続けるために必要な 七つの術(すべ)。 🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦

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