ひとつ目は、忘れる罪。 時間とともに昨日の声が薄れていく。 ふたつ目は、見落とす罪。 そこにあったはずの瞬間を、 見ないまま通り過ぎる。 三つ目は、思い出せない罪。 確かに知っているのに、 名前だけが、喉の奥で止まってしまう。 四つ目は、取り違える罪。 誰かの言葉を、 自分の記憶だと思ってしまう。 五つ目は、書き換える罪。 誰かに聞いた物語が、 いつの間にか、僕自身の思い出になる。 六つ目は、偏る罪。 今の僕の気持ちが、 過去の景色の色まで変えてしまう。 そして七つ目は、忘れられない罪。 消したい記憶ほど、 消えてくれない。 でも考えてみれば、 完全な記憶なんて、 本当に必要なんだろうか。 忘れるから、前を向ける。 間違えるから、物語になる。 僕たちは過去を保存しているんじゃない。 そのたびに、 「今の僕」に必要な形へ、 過去を作り直している。 だから記憶の罪は、 人間の欠陥じゃない。 たぶんそれは、 僕が僕であり続けるために必要な 七つの術(すべ)。 🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦🐦
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