***************************** 雨の音が空から降りてきた。 まるで見えない誰かが、 世界を優しく叩いているみたいだ。 僕は傘を開く。 その瞬間、 透明な膜の向こうに 別の世界が広がった。 無数の粒たちが、 光を抱えて踊っている。 ひとつひとつが、 小さな星みたいに きらりと揺れていた。 足元では、 レインシューズが嬉しそうに 跳ねる。 水たまりを踏むたびに、 青い輪が広がって、 知らない国へ続く 扉みたいに震える。 僕はそっと、 扉の向こうへ足を伸ばす。 傘とレインシューズがあれば、 雨の日は退屈なんかじゃない。 世界は静かに息をして、 道はゆっくりと 夢へ続いていく。 ほら、聞こえる。 雨のリズムが僕の鼓動と重なる。 今日はきっと、どこへでも行ける。 雨がくれた秘密の旅路へ。 ****************************
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