城生 悠正城生 悠正2025-12-14 07:10

Fam'SpaceⅡ ~Dear Neverland~1

Fam'Space  ~Dear Neverland~ 男×1、性別不問×1 の二人掛け合い台本です。 文字数の関係により2投稿に分けております。悪しからずm(__)m 登場人物 ピーター:中年男性。いわゆる仕事人間。それも、家庭を顧みないほどの。 ファム:年齢不詳、性別不詳。現代では考えられないほどのテクノロジーを駆使する。感情の起伏が見られず、不愛想に見えるが… 以下台本です。 --------------------------------------------- (SE店の扉が開く音) ピーター:開いてるかい? ファム:よく来たな。開いているかは、見たらわかることでは? ピーター:ん?俺はお前と会ったことがあったか? ファム:いや、おそらくは、初対面だ。 ピーター:(ため息)店主が客を迎え入れる態度には思えんな。 ファム:そのようだな。まあ、許せ。 ファム:まだ、この国の言語にオルトマが…いや、それはいい。 ファム:お前との会話を、重ねてゆけば、お前に合った口調に、変わっていくはず。 ピーター:さっきから何を訳のわからんことを。 ピーター:それよりもここはバーだろ?メニューはどこだ? ファム:メニュー?…ああ。生憎ここは、それ…バーじゃない。 ファム:この近くに、立ち並ぶ建物を模写し、それっぽくここを作った。 ピーター:…模写して?…作った? ファム:ああ。ある人物を、ここに誘い込むために。 ピーター:ある人物を?なら俺は邪魔者ってわけだな。酒もないみたいだし帰らせてもらうよ。 ファム:いや、お前を待っていたのだ。ピーター・フェイディング。 ピーター:お前っ!なぜ俺の名を?…そうか、金か? ファム:金?生憎、ファムは、そういうたぐいのものに、興味はない。 ピーター:ファム?それがお前の名か? ファム:ああ。正確にはファーマリア・オルテムス。ファムでよい。 ピーター:変わった名前だな。だが、不思議とお前に敵意は感じない。…望みはなんだ? ファム:強いて言うならば…対話。 ピーター:俺と?それも素面で会話して何になる? ファム:誘い込みたいと、言ったろ? ピーター:ああ。だから、何のためだ? ファム:ピーター・フェイディング。お前は、会社での役職、社会的な立ち位置は、そこそこに良いな? ピーター:イエスだ。 ファム:こと、家族に関しては? ピーター:…大手を振ってイエスとは言えん。 ファム:もう一度、聞く。家族との関係は、良好か? ピーター:…(ため息)ノーって言えばいいのか? ファム:根っからの、仕事人間。そういうことだな。 ピーター:…ああ。そうだよ。 ファム:嘘をついても、ファムには、通じない。分かってもらえたか? ピーター:おお、怖いねぇ。心眼でも持っているってのかい? ファム:その程度の力なら、お前にも、あるだろう?いや、「あった」が正解か。 ピーター:心眼を?俺が? ファム:うむ。では、答え合わせを、しようか。 ピーター:なんだ急に? ファム:ピーター・フェイディング。思い出してほしい。お前が持っている、一番古い記憶は、何だ? ピーター:一番…古い?だったら、あれだな。 ピーター:孤児院を出て里親に引き取られた日だ。 ファム:ふむ。だがしかし、その時のお前は、すでに14才だろう? ピーター:なっ!?お前、なんでそんなことまで… ファム:いちいち驚くな。して、14才の記憶が、一番古い物。中々に珍しいと、自分では思わないのか? ピーター:確かに、幼少期の記憶が無い。というか、すっぽり抜け落ちているという表現の方がしっくりくる。 ファム:思い出そうとしたことは、無いのか? ピーター:無くはないさ。けどな、抜け落ちたものに手を伸ばしてみても、やはり何も掴めないのでな。 ファム:…人知を、超えた、力。 ピーター:なんの、ことだ? ファム:お前の記憶は、抜け落ちてなど、いない。ただ、蓋をされている。相当に、強固な力でな。 ピーター:全く、何をおっしゃりたいのか分らんね。 ファム:端的に、言おう。あなたは、この世界の住人では、無い。 ピーター:ほお。いよいよ頭がおかしくなったのか? ファム:ファムは、至って真面目だ。そして、真実しか、述べていない。 (1冊の本を差し出す。) ファム:あなたは、この物語を、知っているか? ピーター:ははっ、からかっているのか? ピーターパンなんざ、知らん奴の方がいないだろ? ファム:では、それが、自分だったという自覚は? ピーター:おいおいおい、その発言を以てして頭がおかしくないとは、さすがに言い逃れはできないぞ、ファムさんよぉ? ファム:なんとでも、言っておくがいいさ。 ピーター:俺は、「ピーター・フェイディング」だ。パンではない。 ファム:では、ピーター・フェイディングよ。核心を突く、用意はよいか? ピーター:はいはい。核心でも安心でもなんでもどーぞ。 (ファム、ピーターに近づき頭に右手をかざす) ピーター:なっ!何をっ! ファム:少し、我慢、しろ。あなたの、記憶の蓋を、こじあける。 ピーター:(苦しむ)ぐっ、あがっ…はぁっ、うがぁあああああああああ!! (気を失うピーター) ファム:…大丈夫ですか、ピーター? (ファムの問いかけに意識を取り戻すピーター) ピーター:んっ?…あぁ、何とか、な。 ファム:では、再度、答え合わせを、しよう。 ファム:…あなたは、何者だ? ピーター:俺は…ピーター・フェイディング。…ピーターパンだった過去を持つ者だ。 ファム:ふむ。記憶の流入に耐えうるは、元々備えている、精神力の強さか。 ピーター:…だが、なぜこんな大事な記憶達を俺は、無くしていた? ファム:恐らくは、自発的に。この世界に降り立つ決意をしたときに、自身の深層心理が、その記憶の存在を、消しにかかった。 ピーター:ここで根を張るのに邪魔だから…か。 ファム:ふむ。ただの人に戻る前に、最後の力を使い、記憶に蓋をした。 ファム:人となったあなたには、到底その蓋をこじあけることは、叶わなかった。 ピーター:それを、お前が…ファムが開けてくれたのか。…なぜ? ファム:ただの、興味本位と、忠告です。 ピーター:興味…と、忠告? ファム:フック船長との、大激闘を演じたあなたが、なぜこのような、雑踏まみれるこの世界に、降り立ったのです? ファム:それこそ、ピーターパンが、一番に嫌ったものなのでは? ピーター:…俺は、…なりたかったんだ。 ファム:何に…です? ピーター:父親に。…そう!父親になりたかった! ピーター:ある女性に恋をして、俺はネバーランドを離れここに降り立つ決心をした。 ピーター:彼女とキスを交わしたその瞬間に、俺は普通の人としてここで住んでいくこととなった。 ファム:あなたが、元々住んでいた国の、魔法が解けた。ということですね。 ピーター:そう。俺は次第に彼女との幸せの結晶である我が子に会いたくなった。 ピーター:…そして、我が子が生まれた。あの時の感情と言ったら…唯一無二だった!

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#声劇#掛け合い

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