(足音、扉がゆっくり開く音) ……おやおや。 もう最初のフロアへ辿り着いたみたいですねぇ。 皆様、足元にはお気をつけください。 ここは―― **「後悔の書庫」**でございます。 本棚に並んでいるのは、 誰かが人生の帰り道で そっと置いていった言葉たち。 あぁ、ご安心を。 勝手に心を読まれたりはしません。 ……たぶん。 さて。 すぐ目につくのは、こちらの本。 『自分に正直に生きればよかった。』 ふふ。 実はこちら、 なかなか人気の一冊でして。 周りに気を回していると、 言えなくなることってありますよねぇ。 本当は嫌だった。 本当は、助けてほしかった。 本当は、好きだった。 けれど、 「空気を悪くしたくない」 「迷惑をかけたくない」 そんな優しさのせいで、 自分の気持ちに 鍵をかけてしまう方が多いのです。 そして人生の終盤になって、 この本を借りに来る。 「もっと自分を大事にすればよかったなぁ」って。 ……おっと。 そこのお姉さん、 少し胸が痛そうなお顔ですね? 大丈夫です。 ここでは、 少し痛いくらいが正常ですから。 さてさて! 次のフロアへ進みましょう! あまりゆっくりしていると…… 本棚の奥から、 あなたの名前を呼ぶ声が 聞こえてくるかもしれませんよ?
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