黒須木ヤト黒須木ヤト2026-04-19 09:27

【朗読】こっつんこ

《作者より》 皆さんは子供の頃に間違えて覚えた言葉、ありましたか? ボーボー車(消防車)とか、とうもころし(とうもろこし)とか…。 《ルール》 思い思いの解釈で、自由にお楽しみください。 一人称や言い回しの変更もOKです。 《お知らせ》 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローのほど宜しくお願いします。 ***《ここから台本》*** 数年ぶりに会った君は、何だか知らない人みたいだった。 背はぐんと大きくなって、肩幅も広くなって。 でも、笑うと少しだけ目尻が下がるところは昔のままで。 その目を向けられると、どうしていいか分からなくなる。 「……久しぶり」 絞り出した言葉は、たったそれだけ。 本当は、聞きたいことがたくさんあるのにさ。 仕事の方はどう? 東京での生活には慣れた? ……好きな人とか、いるの? 喉の奥に溜まった言葉を、水と一緒に流し込む。 君は君で、手元のグラスをじっと見つめたまま。 ……このままじゃ、今日が終わっちゃう。 その焦りが、グラスを握り直す手を優しく動かした。 「ねぇ……こっつん、しよ?」 一瞬、君はキョトンとした顔で私を見た。 でもすぐに思い出したように、あの笑顔がやってきて。 お前、その変な言い方、まだ直ってないのかよ。って。 そう言いたいんでしょう? 「いいじゃん、もう! 私はこれで育ってきたの!」 私が口を尖らせてグラスを差し出すと 君も自分のグラスを持ち上げた。 「はい、……こっつんこ」 カチリ、と小さな音が響く。 それと同時に、自然に笑い合った。 遠かった距離を、いとも容易く縮めてみせたのは 大人になりきれない私たちが残しておいた 小さなおまじないのお陰だ。 ***《ここまで台本》***

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#朗読#擬詩化シリーズ

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