子供の頃、チラシの裏紙に 何かを描くのが好きだった キャラクターだったり、動物だったり テーマも構図も技術も何もいらなかった。 大人になるにつれて色んなことを知って いつからか、頭を空にして 描きたいものだけを描くことはなくなっていった。 気づいた時には描いたものはお金になっていた 有難いことに、それなりに世間には評価されているし、それなりに自信もあった。 実家に帰りふと、冷蔵庫に貼ってある絵が目に留まる。 幼い頃に僕の描いた家族の絵だった。 歪な顔。 バランスも滅茶苦茶で、色だってはみ出している。 何故だろう、拙いクレヨンの絵なのに目が離せなかった。 描いた日のことなんて、もう覚えていない。 だけど―― あの頃の僕は、きっと誰かを喜ばせたくて描いたんだと思う。 冷蔵庫に残り続けたその絵が、 今の僕の描くどんな絵よりも、 少しだけ、優しく見えた。
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