題名『クロユリ』 花言葉:エキゾチック、狂おしい恋、恋、恋の魔術、ときめき、呪い、復讐。 少しでもお気に召して頂けたならば、重畳に存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎デス。 以下、本文。 ✽.。.:*・゚ ほう……それが噂に聞く、恋仲(こいなか)にあった女性からの、最後のお手紙デスか。 失礼。障子(しょうじ)が開いていたものデスから、無礼を承知で闖入(ちんにゅう)して参りました♪ ……【壱人称】デスか? お初にお目にかかります。見ての通り何の変哲(へんてつ)も無い、一介(いっかい)の死神デスよ。 しかし、いくら『戀文(こいぶみ)』を『紅の筆(くれないのふで)』や『紅の文(くれないのふみ)』と称する事が有るとはいえ、自身より流れ出(い)でた血潮(ちしお)にて、したためられた文(ふみ)とは……面妖(めんよう)な。 ……おや、気が付いておられなかったのデスか? そうデスねぇ。血の匂いも薄いデスから、常人(じょうじん)にはちょっと解らないかも知れませんね。 この文は、摺(す)った墨に血液を混ぜて書かれているのデスよ。 文面から拝察(はいさつ)致しますに、おそらくは死後も、恋しいお人の傍に居たかったのでしょうね。 「生涯心からお慕い申上げた御方は、貴方様だけで御座います。 願わくは健(すく)よかにお暮らしに成り、天寿を全うして下さいませ。」 とは、実に健気(けなげ)で、いじらしいじゃないデスか。怨み言の一つも書かずに……、うん? ……ああ、なるほど。そういう事デスか。 ……いえ、大した事ではありませんよ。 ただ……【弐人称】がしっかりと、この女性から怨まれていたという事を、理解しただけデスので。《微笑》 ……一文字目、デスよ。 奥ゆかしいデスねぇ。たったこれだけとは。 しかしながら、これだけでも『呪物(じゅぶつ)』としての効果は充分に有ります。 まぁ、日本三大怨霊の一角(いっかく)〝崇徳上皇(すとくじょうこう)〟直筆(じきひつ)の『五部大乗経(ごぶだいじょうきょう)』の比ではありませんがね~。 アレは非常に強力で恐ろしい呪物デスから。 ま、……何をしでかしたのかは存じ上げませんが、奥ゆかしい女性程、恐ろしい呪いを掛けて逝くものデス。 〝身から出た錆(さび)〟と、潔くお諦め下さい。 ああ……そういえば、『戀文(こいぶみ)』の事を『艶書(えんしょ)』とも言うのデスが、さしずめこれは『怨書(えんしょ)』デスかね。《笑》 ……さて、【弐人称】への罰デスが、既に決められてしまいましたので、こちらから追加で下す罰はありません。 冥府は基本的に、死者の意思を尊重致しますので。 ……冥府の意向も伝えましたし、今回の【壱人称】の仕事は終了デス。 用の済んだところに、長居は無用デスね。 疾(と)くお暇(いとま)すると致しましょう。 「……願わくは、二度と相見(あいま)えんことを」、デスって? それはそちらの行い次第デスねー。《笑》 それでは、よい贖罪(しょくざい)ライフを! ✽.。.:*・゚ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。 また、細心の注意を払ってはおりますが、誤字脱字などが有りましたら、是非、台本のコメントにてお知らせ頂ければと存じます。ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い致します。
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