********************************************** 夜の街に、名前はまだなかった。 冷たい石畳の匂いと、人の靴音のあいだで、 わたしはただ、生きていた。 選ばれたのは、強さではなく、 黙って耐える小さな心。 狭い箱、震える音、回転する世界。 それでも空は、いつも遠くで瞬いていた。 火の柱が大地を引き離し、 重さが、時間が、吠える理由さえ奪っていく。 それでも窓のない空の奥で、 わたしは星を見た気がした。 帰り道は、最初から用意されていなかった。 それでも、名前を呼ばれた気がした。 クドリャフカ。 それは、地上に残された 祈りのような響き。 わたしは消えたのではない。 夜空の静けさに、 今も、鼓動として漂っている。 **********************************************
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