《台本の概要》 超えてはいけない一線の駆け引き…。 こういうシチュは大好物です。グッときますねー! 本当はお嬢様側のセリフも用意して2人芝居にしたいくらい。 《ルール》 好きに読んでください。 一人称や言い回しの変更もOKです。 《お知らせ》 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローのほど宜しくお願いします。 ***《ここから台本》*** 雨が降り出したのは 予想より、少し早かった 私は反射的に傘を開いて お嬢様の頭上に差し出す 自分はいつもの位置 半歩後ろ それが 正しい距離だと思っている けれど 雨音が強くなった瞬間 お嬢様が一歩、内側に入ってきた 傘の中が急に狭くなる 私は思わず位置を戻そうとして 口を開いた いけません、と 言うつもりだった 「このままだと私、濡れてしまいます」 困っているだけの声に聞こえた だからこそ それ以上、下がれなかった 守るべき人を濡らしてまで 守りたい距離がどこにあろうか 少しの逡巡の後、私は言う 今だけですよ、と それは 許しでもなく 拒絶でもなく ただの言い訳だったと思う 肩が 触れそうで触れない 歩幅が 自然と揃っていく 主従でもなく 命令でもなく ただ雨を避けるために 隣を歩く 傘の中では言葉は交わさず そのかわり 雨音だけが二人分あった きっと誰が見ても ただの相合傘だ でも私にとっては 踏み越えなかった一線と 確かに並んだ一瞬が 同時に存在していた 玄関が近づく 雨は、まだ止まない それでも ここまでだ 私は ほんの少しだけ距離を戻し 傘の角度を元に戻す このことは誰にも言わない 雨が降った日の ほんの数分 主従関係を超えて 隣を歩いたこと 今だけのことだ だからこそ 大切にしまっておきたくて fin ***《ここまで台本》***
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