登場人物:おれ(後輩くん) 形式:一人語り/朗読用台本 ----------------------------------------------------------------- あの夜、先輩がくれたのは、 たったひとつの飴玉だった。 花火大会の帰り、 土手に並んで座ったとき、 胸の奥で言葉が暴れていた。 「来年も、一緒に見れるかな」 おれは、冗談みたいに笑って言ったけど、 ほんとは答えが欲しかった。 けど先輩は何も言わなくて。 代わりに、小さな飴玉を握らせてきたんだ。 「また来年も、一緒に見よう」って。 その一言で、胸が締めつけられた。 言えなかったんだろうな。 おれが言えなかったみたいに。 あの飴玉、まだ開けられずに持っている。 甘さよりも、先輩の手のぬくもりが 残ってるから。 花火の音を聴くたびに思い出す。 あの夜、言えなかった「好きだ」の言葉。 来年が来なくても、 あの瞬間だけは、 ずっとおれの中で輝き続けている。 -------------------------------------------------------------------- ※参考:先輩目線「最後の花火」 https://coemee.com/topics/3CsR7PdhJyqTTRgtIKWIH ---------------------------------------------------------------------
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