蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-05-23 15:02

カットの後、恋人たちは笑っていた。

SE:撮影現場のざわめき。照明機材の音。 監督: ――カット! (静寂) 主人公(独白): その言葉で、世界が一度だけ死ぬ。 さっきまで生きていた病室の空気が、 一瞬でただのスタジオに戻る。 泣いていた少女は笑っている。 死にかけていた男は、弁当の話をしている。 恋敵役は、妙に距離が近い。 そこで生きていた世界を切り取って魅せるのだから、 それ以外は普通で当たり前なのだけど。 恋敵役: それ俺の水じゃね? 少女: えぇ~知らないですけどぉ? 主人公(独白): この世界は、生きているのに、演じている。 その境界が、時々わからなくなる。 少女: 先輩、またその顔してる。 主人公: どの顔だよ。 少女: 終わってる人の顔。 主人公(独白): 終わっている。 その言葉だけが、妙に残る。 昔は違った。 誰とでも、呼吸が合った。 でも今は。 誰とも噛み合わない。 (間) 主人公(独白): 芝居って、なんだったっけ。 SE:遠くで機材音。現場のざわめき。 恋敵役: なあ、それ次の段取りどうなってんの? 少女: えぇ、知らなぁい。 恋敵役: いや知っとけよ主演だろ。 少女: ……主演ってぇ、そういうのもやるんですかぁ? 恋敵役: やるわ! (軽い笑い) 主人公(独白): あの軽さが、ずっと理解できない。 死と生の間で芝居をしているはずなのに、 そこには妙な日常が混ざっている。 それが、怖い。 そして。 少しだけ、羨ましい。

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#声劇#ゆんの台本#声劇

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