登場人物:おれ(後輩くん) 形式:一人語り/朗読用台本 ----------------------------------------------------------------- 雨が上がったばかりの道。 アスファルトが、まだ濡れていて、 光を反射してきらきらしている。 その匂いを吸い込んだ瞬間、 後ろから小さく足音がした。 少し俯きながら歩く先輩の姿。 その肩に、 残り雨がまだ小さく落ちて、 髪の先で光っていた。 ぺトリコール。 雨と土が出会ったときの やさしい匂いの名前だと、 おれが教えた瞬間 先輩がほんの少し笑ってくれた日。 風が止んで 静かな朝の通学路。 おれの手から離れたシャボン玉が 空へふわりと昇っていった。 虹色に光って 消えるまでのほんの数秒、 先輩はそれを まるで宝物みたいに見つめていた。 ぺトリコール。 その言葉の響きの中で、 おれは今日もまた、 先輩を想い続ける。 ------------------------------------------------------------------- ※参考:先輩目線「ぺトリコール」 https://coemee.com/topics/Gg9ZSzoMuwEXO1pe2SD7Z -------------------------------------------------------------------
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