以下台本↓ 「……答辞。 ……三年前、この校門をくぐった時、 私はまだ、何も知らない子供でした。 ……右も左も分からない私に、社会の厳しさと ……そして、『大人の裏側』を教えてくださった先生方。本当に、ありがとうございました」 「特に、数学科の伊藤先生。 ……先生には、放課後の個別指導で、 教科書には載っていない『特別な数式』を たくさん教えていただきましたね」 「先生がよくおっしゃっていた、 『二人だけの秘密を共有することで、 成績も親密度も上がる』という、 あの独自の教育理論。 ……最初は戸惑いましたが、 先生のあのような熱心な ……あまりにも、肌の距離が近い ご指導があったからこそ、私はこうして、 今日という日を迎えることができました」 「……先生、どうして下を向いているんですか? いつものように、私の肩に手を置いて、 『君は特別だよ』と耳元で囁いてくれないのですか? 今、この体育館のプロジェクターで、 先生が夜遅くに私へ送ってくださった あの……教育的指導の枠を超えた あまりにも情熱的なメッセージの数々を スライドショーで流して差し上げたいくらいです」 「あぁ、先生、大丈夫ですよ。 そんなに震えないでください。 先生のスマートフォンのパスワード 私の誕生日でしたよね? 簡単にバックアップは取らせていただきました。 ……今、この瞬間に、私のSNSアカウントを通じて、 全校生徒、そして保護者の皆様のタイムラインに、 『先生の愛の授業』の証拠が 自動投稿されるよう予約しておきました」 「……あら、ちょうど今、 皆さんのスマホが鳴ったようですね。 ……おめでとうございます、先生。 これで先生は、この学校だけでなく、 全国的に有名な『聖職者』になれますよ」 「……私たちは、この学校で『正義』を学びました。 だからこそ、ゴミはゴミ箱へ、犯罪者は警察へ。 正しい場所に帰るべきだと判断いたしました」 「これをもって、私の卒業と、 伊藤先生の……社会的な死の門出を祝す言葉と させていただきます。 ……さようなら。地獄へは、一人で行ってくださいね」 「令和八年、三月。 卒業生代表、「あなたの名前」。 ……あ、警察の方は校門の前に呼んでありますので」
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