アレンジ、改変、アドリブなどお好きにどうぞ。 楽しく演じる全ての人を応援しています。 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローいただけましたらお迎えにあがります。 ***** 【虹色鴉】 最近ね、自分の身体には どうやら“ちょっとしたクセ”があるって 前より素直に思えるようになったんだ。 朝の調子がその日の地図を決めたり 昨日できたことが今日はお休みしていたり まるで気まぐれな空模様みたい。 正直、「もっと自由に動けたら」って思う日もあるよ。 でも、この不器用なリズムも 私の歩幅をゆっくり守ってくれているんだって思うようになった。 急がなくていいんだよ、って。 倒れる前に休んでもいいんだからね、って。 誰よりも私に寄り添う“もう一人の私”みたいな存在が いつも身体の奥で見守ってくれている。 ねぇ、知ってる? 鴉の羽って真っ黒だけれど あれは虹色を全部混ぜると生まれる色なんだ。 黒は、光を隠す色じゃない。 光を全部抱え込んだ、欲張りな色なんだ。 ……そう考えたらね。 この“クセ”っていう個性も ちょっとだけ愛せる気がしてさ。 もちろん、しんどい日だってある。 痛みも、不安も、涙も できればサボりたいほど、面倒なこともある。 でも、それらを全部ひっくるめて── 「私」という色ができあがっているんじゃないかって。 もし私の中に 赤や青や黄色や、いろんな色があるのなら この“空模様”にも しっかりと虹が架かっているはずなんだよね。 だから私は今日も 真っ黒なようでいて、実はカラフルなこの身体で ちゃんと生きていく。 だって、混ざりすぎた色ほど 世界にひとつしかない色なんだ、って 知ってしまったから。 fin. *****
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