朗読台本「Paper Tigers」

登場人物：ぼく（先輩） 形式：一人語り／朗読用台本 ------------------------------------- ぼくはずっと、不器用に強がってきた。 君の前に立つと、その仮面は 薄い紙みたいに透けてしまう。 笑顔を向けられるたび、 胸の奥に悦楽が染みわたり、 心はふわりとほどけていく。 手を伸ばすことを恐れながらも、 その距離さえ心地よく甘い。 シニカルに笑ってごまかす癖も、 君の視線に触れると少しずつ和らいでいく。 隣に立つだけで、こんなにも 温かさに満たされるなんて。 紙のように儚いぼくの心を、 君はやさしく支えてくれる。 そのぬくもりに触れるたび、 いずれこの距離を越えられると信じて ただ静かに微笑む。 --------------------------------------