東で生まれた僕は、 紙に包まれた長手牡丹を、 静かに下へ向けて灯していた。 西で育った君は、 藁の先に火を宿すスボ手牡丹を、 空へ語りかけるように掲げていた。 違いを並べて ふたつを比べて 笑い合った夏の夜。 東の紙は、 想いを包むことが得意だった。 西の藁は、 風を抱きしめることが上手だった。 だからだろうか。 僕の言葉は胸の奥へ沈んでいき、 君の笑顔は夜空を感じていた。 火花はやがて、 蕾になり牡丹になり、 松葉になって 散り菊となり消えていく。 あの一瞬は、 形は違っていても、 僕と君との ひとつの想い出となった。 今年の夏も線香花火を灯す。 しばらくスボ手牡丹は 見ていないけれど、 心は、 いつも少しだけ西を向いている。 あの夜、 上を見上げる君の火と、 下を見つめる僕の火は、 同じ夜を見つめていたのだと、 消えた火玉のぬくもりが、 今も静かに教えてくれる。
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