お題詳細

つきといぬつきといぬ2025-11-08 11:55

ぬくもりと冬の手触り

 点滅する信号に急かされるようにして、駆け足で横断歩道を渡る。  まだひと月以上あるというのに街はクリスマスムード一色で、どこか浮足立って見えた。  日曜日のお昼時、駅前を行きかう人の影。  待ち合わせをしているあなたの姿が見え隠れする。    私って、単純だ。  それだけでプレゼントを貰った子どもみたいに、心が飛び跳ねるんだもの。  乱れた髪と息を整えて、あなたのもとへと歩み寄る。    ごめんね、待った? ううん、今きたとこ。    定番のやり取りももうお手の物。  いこっか、と出された手を握る。  私のより大きくて、ひんやりとしてて、少しカサカサしてて。  自分じゃケアなんてしないから、私がクリーム塗ってあげなきゃなんて。  そんなことを思うたび、今年も冬がきたことを知る。    さあさあ、行こう、はやくはやく。  行きたいところがたくさんあるのよ。    ゆっくり歩く彼を急かす。  これからもずっと一緒にいるけれど、あなたと過ごす今年の冬は、たったのいっかいきりなんだから。    ねえ、今日はどこにいこっか? ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ アレンジなどご自由にしていただいて大丈夫です。 みなさんのお声をお待ちしております。

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