蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-05-14 22:21

夜更けの、サプライズ。

夜更け、 通知音が静かな部屋に響いた 見慣れない番号から届いた動画。 『あー撮れてるかな?これ』 画面の向こうで笑う君は、 半年前と何も変わらないままで 「見えてるよ。」 届かない返事を、 気づけば口にしていた 『なんと! お母さんにお願いして、 今日届くようにしてましたー!はい、拍手!』 そう言って、 君は楽しそうに笑う 『大好きな君のことだから、 なんで今更って言ってるでしょう』 「……なんで今更?」 つられるように、 僕はつぶやいた。 『さて問題です!どぅーどぅん!今日は何の日でしょーかっ!』 「…知らない」 『ぶっぶーー!』 君はわざとらしい効果音を楽しそうに口にしながらカメラに近づいてきた。 『今日はね、なんと!あなたがお参りに来てくれた30回目の記念日でーす!はなまるシールを進呈しましょう!』 「わーありがたい。」 『はい、拍手ー』 ぱちぱちと画面の向こうで盛大に手を叩いている 『でね、』 拍手を止めた君が、少し顔を伏せながら呟く 『あのさ、来てくれてるのは嬉しいのだけどね…』 少しだけ困った笑顔をこちらに向けてきた。 『そのさ、ちゃんと生きれてる?』 「…もちろん」 首を振りながら、君は小さく笑った 『うーん、それはね、嘘だよ。』 困ったように笑いながら、僕と目が合った 『本当にそうなら、こんなに来れないものだよ?』 「……っ、そんなの、仕方ないじゃないか!」 気がついたら叫んでいた。 「君は突然僕の前から消えて、世の中はそれが当たり前みたいでさ!そんなのどうやって受け止めればいいんだよ!」 止めようとしても、言葉があふれてくる。 「そんなの……そんなの耐えられないよ!」 『ごめんね』 その言葉で、 僕は我に返った 君は少し寂しそうに笑う 『何を言うのかなんて、 今の私には分からないんだけどね』 小さく息を吐いて、 君は続けた 『私はさ、 あなたが想ってくれるの、 すごく嬉しいよ』 『でもね、 それだけじゃ駄目なの』 君の声が、 少しだけ震える 『あなたは今も、 ちゃんと息をしてる』 『鼓動だってしてる』 『だから…… ちゃんと生きてほしいの』 そう笑う彼女の頬には涙が零れていた。 そこで動画は終わっていた。 また取り残された部屋で、 僕は窓の向こうの月を見る。 「本当に、サプライズが下手だなぁ…これはずるいよ。」

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