線香花火は、 終わるために灯るのだと、 僕はずっと思っていた。 火は生まれた瞬間から、 消える未来を知っている。 それなのに、 最後の一秒まで美しく揺れる。 あの小さな火玉の中には、 夜空よりも深い宇宙がある。 落ちそうで落ちない。 その迷いが、 命という名の光なのかもしれない。 人もきっと同じだ。 永遠を手に入れるためじゃなく、 一瞬を燃やし切るために、 今日という夜へ生まれてくる。 だから僕は、 消えゆくものを 悲しいとは呼べない。 散る花は美しく、 暮れる空は優しく、 消える光は心の奥へ住みつく。 やがて火玉は音もなく落ち、 闇だけが残る。 だけど不思議だ。 消えたはずの光は、 僕の中でまだ揺れている。 線香花火は 夜を照らすための火じゃない。 誰にも見えない心へ、 「今を生きて」と、 そっと火を灯すための 小さな星だ。 ❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉ 詩音の詩(うた)
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