﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ 「だ・る・ま・さ・ん・が・ こ・ろ・ん・だ」 振り向いた瞬間 胸の奥がすっと冷える。 誰もいない。 風の音だけが響く。 さっきまでいたはずなんだ。 足音も気配も確かにあった。 だけど振り向くたびに 世界はまるで ぼく一人だけに 書き換えられたみたいに 静まり返る。 ぼくは鬼。 だから みんなは止まって息を殺す。 それがルールだってわかってるけど。 「だるまさんがころんだ」 また振り向く。 やっぱりいない。 その静けさが 背中のほうからじわじわと 染み込んでくる。 怖い。 もし本当に 誰もいなくなったのだとしたら。 この遊びは 誰と続ければいいんだろう。 ぼくは ただ捕まえたくて 言っているんじゃない。 振り向いたとき そこに誰かがいてほしくて。 近づいてきてほしくて。 笑って逃げて また来てほしくて。 「···だるまさんが···こ···」 その時 ぼくの背中を ポンっと叩いた手の温もり。 振り向くと 皆の背中が見えた。 「ストップ!」 ぼくは1人じゃなかった。 誰もいなかったんじゃなくて ぼくが見ようとしていなかった。 声が聞こえなくても 目を合わせていなくても 不安にならなくていいんだ。 どんな形でも 皆と繋がっていられることは 素敵なことだと思った。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ ※参考:「だるまさんがころんだ」 鬼が壁に向かって「だるまさんがころんだ」 と言っている間に他の参加者は鬼に近づき 「ころんだ」で鬼が振り向いたときに 動きを止める遊び。 うまく止まれなかったり動いてしまったり した人は鬼に捕まる。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌
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