題名:『花を売る男』 原典:童謡『花一匁』 Xのお題で書かせて頂いた台本です。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 〔/〕は選択式です。台本の雰囲気を損なわなければ、選択肢以外の言葉をお選び頂いても、差し支え有りません。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 ✽.。.:*・゚ へぇ……『花一匁(はないちもんめ)』やってら……。今時珍しいなァ……。 【三人称複数形】知らねんだろーなー。楽しく歌って遊んでるその歌が、人身売買の歌だってコト……。 あ?【二人称】も知らなかったのか? ……そか。んじゃ、テメーで出した話の手前、教えとくか……。 『花一匁(はないちもんめ)』の歌詞はな、子供を売る親と、買った子供を遊郭(ゆうかく)に売る人買い人・女衒(ぜげん)の会話の内容が元になってんだよ。 あー、まずはこの歌の時代背景だが……、この国がまぁだ貧しかった時代の話だ。 飢饉(ききん)やら天災なんかで、生活が困窮(こんきゅう)した家じゃ、子供の身売りは、そんな珍しい話じゃあなかったんだよ。 そんまま家に置いてたって、小せえ順に間引(まび)きしてくしかねぇからな……。 墓なんてねぇ。竈(かまど)近くの土掘って埋めたり、家の軒下(のきした)に埋めたりしたんだよ。 隣近所で、昨日まで見えてた子供が見えなくなったりしても、暗黙の了解でな……。見て見ぬ振りよ……。 そんなことするぐれーなら、売られた子供の努力次第だが、〔金持ち/お大尽(だいじん)〕に見初(みそ)められる可能性がなくもない遊郭(ゆうかく)へ売って、いつかまた会える日を夢見たり……、親ともなりゃあ、とにかく子供に生きていてほしかったんだろーよ。 それで、「かってうれしい 花いちもんめ まけてくやしい 花いちもんめ」の「花」ってのは、「売られていく娘」のことで、「かってうれしい」は「高値のつく娘を安く買えた」と喜んでいる女衒(ぜげん)の気持ち、「まけてくやしい」は「娘の値段を値切られて悔しい」親の気持ちなんだとさ。 んで、「匁(もんめ)」ってのは、めちゃくちゃ軽い重さの単位で、大体3.75グラムだったか? とにかく……当時、花を売る時には、この重さが代金の基準だったんだと。 で、まぁつまり、売られていく子供の命は、それくらいの軽さ、値段で取引されてたって訳だ。 ちなみに女衒(ぜげん)は、どんな格好の子供でも、一張羅(いっちょうら)を着せて映えるか映えねぇか、バッチリ見極められたんだとよ。すげーよなぁ? しかも、それをおくびにもださず、高値で売れそうな子供を、安値で買い叩いたってんだ。つくづくあこぎな商売だよなぁ? ……ま、どんなに時代が流れても、搾取(さくしゅ)する者と搾取される者がいる。それが〔現実/この世〕だ。 あ? ……おいおいおい、【一人称】がそんな正義漢(せいぎかん)に見えたか? ……《笑う》お優しいこって。ありがとな。 しかし、言ってみりゃあ【一人称】も、女衒(ぜげん)の端くれだぜ? 死んだら行き着く先は、当然地獄だよ。 お……、ついたな。ここが【二人称】の仕事場だ。歩合制だからな、しっかり稼ぎな。 ……よし、じゃー店長に挨拶に行くか。 あ……そこ、〔カエル/毛虫〕居っから、踏まねえように気ぃつけ〔な/ろ〕。 《間》 いーえ、どういたしまして。あれも仕事のうちよ。気にしなさんな。 また会ったその時は、恨み節(うらみぶし)でもなんでも聞いてやる。 そんじゃ、体に気をつけてな。あばよ。 ✽.。.:*・゚ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。 また、細心の注意を払ってはおりますが、誤字脱字などが有りましたら、是非、台本のコメントにてお知らせ頂ければと存じます。ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い致します。 2025/11/08 21時51分:【二人称複数形】→【三人称複数形】に変更. ※三人称:あいつ・あの方・あの子・あの人・あやつ・彼・彼女、等。
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