******************************************* 窓の外で、雪が光っている。 街灯に照らされているだけなのに、 あの頃の夜と同じ色だ。 子供のころ布団に潜り込みながら、 眠ったふりをしていた。 靴下をそろえ、 眠れないまま目を閉じて、 鈴の音を探していた、 あの時間。 信じていたんだ。 世界のどこかから、 必ず来てくれるって。 大人になった僕は、 もう知っている。 贈り物の正体も 夜の仕組みも、 夢の終わり方も。 それでも今夜だけは、 カーテンを少し開けてしまう。 雪明かりに照らされた静けさが、 "待つ心"をそっと思い出させてくれる。 何かが優しさの形をして、 届くんじゃないかって。 信じた記憶は、 まだ胸の奥で温かい。 だから今夜は 眠る前に少しだけ待とう。 あの頃の僕と並んで同じ夜を。 ******************************************
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