「ケセラセラ」

「なるようになるさ」なんて、 軽く言えるほど、強くも器用でもないんだけど。 ……でも最近は、 少しずつだけど、わかってきた気がする。 自分の思い通りにならないことの方が、きっと多い。 どれだけ考えても、迷っても、 誰かの気持ちまで変えられるわけじゃないし。 でも、それでも。 誰かを好きになる気持ちも、 そばにいたいって願う気持ちも、 自分の中にちゃんとあるってことだけは、否定しちゃいけない気がして。 あの人が笑ってくれた時、 何でもない会話で目が合った時、 一緒にいられる時間が、ただただ愛しかった。 それだけで、 充分だったのかもしれない。 ……いや、本当は―― もっと欲しかったけどね。 それでも、今日も夜はやってきて、 いつも通り朝は来る。 心が少し痛くても、 ちゃんとご飯食べて、 笑えること見つけて、 ……なるように、なるんだろうな。 “ケセラセラ”って、 強がりでも、諦めでもなくて―― きっと、自分を許すための魔法みたいな言葉なんだ。