蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-06-02 15:58

優しい、お客さん。

仕事終わりの彼女が、 店の外へ出る。 「あ、お仕事終わりなんですね」 「そうなんです」 疲れているだろうに、 彼女はいつも笑ってくれる。 優しい人だ。 たまに、 質問までしてくれる。 僕のことを、 知ろうとしてくれている。 ――そう、思っている。 「今日は、 いつもより長かったんですか?」 「あ、分かります?」 少し驚いた顔。 やっぱり。 今日は普段より、 十三分遅い。 制服の袖も少し汚れていたし、 忙しかったんだろう。 「実は、 人が足りなくて」 申し訳なさそうに笑う。 そんな顔、 しなくていいのに。 SE:駐車場で電子音。 「あ。」 白い軽自動車。 なるほど。 今日はあの車か。 「車、直ったんですね」 「……え?」 彼女が、 少し目を丸くする。 「あ、前、 黒い車でしたよね?」 「あー!そうなんです! 代車だったんですよ」 やっぱり。 覚えていて良かった。 こういうのって、 嬉しいはずだから。 自分のことを、 ちゃんと見てくれてるって。 「すごいですね、 覚えてたんですか?」 「まぁ、 いつも見てるので」 少し笑われた。 よかった。 変には思われてない。 SE:外で雨音。 あ。 今日は雨か。 彼女、 傘を持っていない日だ。 こういう日は、 少し小走りになる。 車まで、 濡れながら。 そうだ。 今度、 傘を一本多めに持ってこよう。 前に、 寒そうにしていた日もあったし。 困っている時に渡した方が、 受け取りやすい。 その方が、 自然だ。 次は金曜。 21時43分頃。 たぶん、 白い車で帰る。

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#朗読#朗読#ゆんの台本

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