蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-09-20 14:40

月を眺める

技術が発達して、僕らは余白を削って 空を眺める余裕もなくなった 少しずつ、少しずつ心も疲弊して いつからか、うまく笑えなくなってきた 朝になれば時間に追われ 夜になれば画面を眺める 誰かの言葉が絶えず流れて 誰かの暮らしが絶えず目に入って 静かなはずの一人の時間さえ いつの間にか、何かで埋めるようになった そんな夜に ふと、空を見上げた 月があった ただ、それだけだった 何かを教えてくれるわけでもなく 励ましてくれるわけでもなく 僕の苦しみなんて知らない顔で ずっと、そこに浮かんでいた だから僕も 何も考えずに眺めてみた 五分でもいい 一分でもいい 何者にもならなくていい時間を 自分に返してみた 月を眺めている間だけは 急がなくてよかった 役に立たなくても 答えを出さなくても ただ、そこにいてよかった 僕らに足りなくなったのは 便利さじゃなくて こんなふうに 何もしないでいられる 余白だったのかもしれない

118
#朗読#お月見#ゆんの台本

回答一覧6件

まだ回答がありません

最初の回答者になってみませんか?