午後の光が 校舎の窓にやわらかく差し込んでいる。 チョークの粉がゆっくりと舞う。 まるで春がもうそこまで来ているみたいに。 君の名前を呼ぶことが 当たり前だった。 隣にいることも笑い合うことも。 それがずっと続くんだと 勝手に思い込んでいた。 ロッカーの奥には 書きかけの夢と言えなかった弱音。 インクの切れたペン。 大人になるってどういうことなんだろう。 その答えを 僕たちはまだ知らないまま 今日を迎えている。 たくさん笑った日も 理由もなく黙り込んだ日も 全部ちゃんと覚えている。 最後のチャイムが鳴る。 その音が やけに長く響く。 さよならは終わりじゃない。 きっと続きを信じるための合図なんだ。 白いノートの最後のページ。 君の字が少しだけ滲んでいる。 それを見て 僕も少しだけ強くなる。 駅まで続く並木道。 同じ景色を見てきたはずなのに これからはそれぞれの未来を歩く。 約束なんてなくてもいい。 忘れないことが約束になるから。 ありがとうは照れくさくて言えないけど ちゃんと心の奥にある。 胸を張って歩き出そう。 振り返らないわけじゃない。 でも前を向く。 これが僕たちの卒業。 チャイムの余韻が消えていく。 そして 春のドアがゆっくりと開く。
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