登場人物:ぼく(先輩) 形式:一人語り/朗読用台本 ---------------------------------------- ぼくは窓辺に腰かけて 硝子越しの影を追っていた。 水滴に滲んだ向こう側に、 彼の姿が揺れている。 彼はただ、 ぼくの置いた小さなサボテンを見つめていた。 無口で、不器用で、それでも真っ直ぐに。 その緑の棘に守られるようにして、彼は笑った。 雨の匂いと一緒に、 あのときの記憶が胸にあふれてくる。 触れられない硝子があるからこそ、 手を伸ばしたくなる衝動に、ぼくは囚われる。 もし、この雨が止んだら ぼくは彼の肩に触れてしまうだろう。 それがどんな答えを呼ぶのかも知らないまま。 ---------------------------------------
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