****************************** 夜の部屋で、私はそっと ラジオの周波数を合わせる。 ノイズをくぐり抜けた 誰かの声が語りかけてくる。 それは言葉というより 温度や呼吸に近くて、 私を知らないはずなのに 心の奥を正確に捉える。 電波は見えない糸。 今この瞬間も 誰かがどこかで、 同じ声を聴いている。 遠い街、知らない景色、 眠れない誰かの心と、 今ここにいる私を結びつける。 私たちは知らないまま 同じ想いを受け取って、 同じ夜を渡っている。 孤独は、 こんなふうに 分け合えるものだっただろうか。 ラジオを消しても その余韻は しばらく消えない。 見えないはずの想いが 確かに私に届いた証として。 ******************************
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