題名『タイムトリッパー女とうつけ者と呼ばれた男』 なんちゃって時代劇です。 オリジナルは某サイトの閉鎖と共に失われてしまったので、記憶を頼りに書き直しました。おまけのみの投稿も可です。 誤表現・誤字・脱字等が有った際は、教えて頂けると助かります。 少しでもお気に召して頂けたならば重畳に存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 *.。.:*・゚*.:*・゚*.。.:*・゚*.:*・゚ おお、連れて参ったか。入れ、入れ。 《ト書*女を連れて来た家臣に対し》ご苦労であった。そちは下がってよいぞ。 いやぁ、いきなり呼びつけてすまなんだな。そこへ座るがいい。ああ、正座が苦手ならば、足を崩して構わん。ここには【壱人称】と【弐人称】しか居(お)らんのだからな、無礼講じゃ! 《ト書*にこやかに自分を招き入れた男の言葉に甘えて、女は楽な体勢で畳の上に敷かれた座布団に座す。》 【壱人称】は茶の湯(ちゃのゆ)が趣味での、たまに家臣等(かしんら)とも一席 設(もう)けておるのじゃ。 ときに【弐人称】、南蛮菓子(なんばんがし)は好きか? これは『ビスコイット』という名の菓子でな、【壱人称】の一番の好物なのじゃ。 《ト書*女は自分も好物である旨を伝える。》 ほぉ、そうか! 食の趣味が合うのは嬉しいのぉ! お、湯が沸いたな。では、始めるかの……。 《ト書*男は茶を立て始める。》 家臣の中には、【弐人称】を狐狸の変化(こりのへんげ)や〔妖(あやかし)/物怪(もののけ)〕の類(たぐい)ではないかと、疑っておる者も居(お)るようじゃが、【壱人称】は【弐人称】の話を信じるぞ。 と言うより、先日【弐人称】が話してくれた、奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)な内容の話は、信じた方が面白いわ! 《ト書*家臣には言えぬがな、と豪快に笑う。》 この世には、いくら考えても答えの出ぬことや、天変地異(てんぺんちい)の前触れかと思うような〔奇怪/不可思議〕な出来事は、数多くある。 いや、そもそも世の中は分からない事の方が、圧倒的多いのじゃ。 故に、いちいち気にしておっては、命が幾つあっても足りぬわ……。 ……ん、そろそろ頃合(ころあい)かな。さ、飲め飲め。 《ト書*女は差し出された茶碗を、茶道の作法通りに数度回し、茶を口に含んだ。その後、飲み干し結構なお点前でしたと言う。》 堅苦しい作法など気にせずとも良いというに、律儀よのぉ……。 お、美味かったか? それは何よりじゃ! 《ト書*男自身も飲む。》 ん。我ながら美味い。 ……しかし【弐人称】、見つけた時身に纏(まと)っておった、南蛮風(なんばんふうの 妙(みょう)ちきりんな衣(ころも)も似合っておったが、着物も似合うのぉ。 《ト書*女、驚く。》 そんなに驚くことでも無かろう? 実は、【弐人称】が部屋に入ってきた時から、いつ言おうかと機会を窺(うかが)っておったのじゃ。 《ト書*男は照れくさそうに笑った後、女の顔をじっと見つめる。》 【弐人称】、そんな顔もするのだな。もっと、様々な顔を見てみたくなった。 《ト書*女は頬を染めて視線を畳に落とす。》 【弐人称】はまるで、万華鏡の様にくるくると表情が変わるのぉ。見ていて飽きんわい。 《ト書*男は愉快そうに笑ったが、一瞬で真剣な顔に変わる。》 急にかような戦乱の世に来て、さぞ心細さかろう。目下も不安で一杯であろうが、【壱人称】は何があろうと【弐人称】の味方じゃ。何ぞ困り事が出来た時は、それがどんなに些細(ささい)な事であろうとも、すぐ【壱人称】に申せ。 もっとも、煮炊(にた)きをするにも、暖を取るにも、【弐人称】のいた世と比ぶれば、不便なことこの上なかろうが、出来る限りの事はしよう。 《ト書*女、姿勢を正し、深々と頭を下げる。》 礼には及ばぬ。 その代わりと言っては何だが……、この乱世を治め、日の本を統(す)べる者は誰かを……教えてはくれぬか? 《ト書*女、それだけはどうかご勘弁をと言う。男はその一言と女の表情から何かを読み取ったように頷く。》 そうか……、よし! つまらんことを言ったな。今の話は忘れてくれ! であれば……そうじゃな……、【弐人称】の得意なこと、もしくは、していると心躍るようなことはあるか? 《ト書*女は自身の趣味を話す。》 おお、そうか。ならばそれで良い。【壱人称】を楽しませてみよ! ……とは申したが、これは決して命令では無いのでな。そんなに気負わんでよいぞ……。【弐人称】が元いた世へ帰れるまで、【壱人称】の許(もと)で健(すこ)やかかつ朗(ほが)らかに、なるべく笑顔で暮らしてくれさえすれば、【壱人称】は満足なのでな……。 《ト書*男は優しい笑顔を女に向ける。》 おっと、忘れるところであった。ビスコイットを食すのであったな。 今、切り分けてやるからの。……となれば、茶も要るな。茶ももう|一服(いっぷく)立てるゆえ、……【弐人称】も立ててみるか? 《ト書*女、教えてほしいと目を輝かせる。》 おぉ、そうか! では、まずはな……(フェードアウト)。 《ト書*笑顔が戻った女に一安心し、男はお茶会を再開させるのであった。》 《終》 *.。.:*・゚*.:*・゚*.。.:*・゚*.:*・゚ おまけ・壱『好物』 なんじゃ、姿が見えぬと思うたら、女子衆(おなごしゅう)と一緒であったか。 何をしておったのじゃ? ……おぉ、干し柿作りか! 【弐人称】は客人(まれうと)であるというに、ほんによう働くのぉ……。 して、これを今からどうするのじゃ? ん?【弐人称】があまりにも楽しそうにしているのでな、【壱人称】もやりとうなった! 世間には「台所仕事など、男子のするものでは無い!」と申す者も居るようじゃが……、何事も経験じゃ。 何より、これは【壱人称】の好物! どのようにして出来上がるのか興味が湧いた。 【壱人称】にも教えてくれまいか。 *.。.:*・゚*.:*・゚*.。.:*・゚*.:*・゚ おまけ・弐『惜別』 【弐人称】、まだ逃げて居らなんだのか!? ここにもじき火が回る! そうなっては【弐人称】の身命(しんめい)も危ういぞ! ……言う事を聞かぬか、うつけ者め!【壱人称】と運命を共にする気か!? とっとと去(い)ね! ……【弐人称】と出会えて、本当に良かった。 史書(ししょ)は勝者の都合良く書かれるものだ。 ゆえに、後の世に、【壱人称】のことがどのように伝わるか分からんが、最早(もはや)そんなことはどうでも良い。 【壱人称】の本当の姿や生き様は、【弐人称】の記憶に残り続ける。 ……なんと有り難い事であろうな。 【壱人称】は日本一(ひのもといち)、いや三国一(さんごくいち)の〔果報者(かほうもの)/幸福者(しあわせもの)〕じゃぁ……! さ、もう行け! 出来得(う)る限り、身を低くしてな。 【弐人称】の幸せを、心から願っておるぞ。達者でな。 *.。.:*・゚*.:*・゚*.。.:*・゚*.:*・゚ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。
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