目潰し目潰し2026-03-03 01:37

【声劇台本】閉ざされたアトリエ#11

登場人物 来栖(くるす)(女)【解明師】 きー君(男)【収集屋】 僕(ぼく)(男・女)【雑用係】 兼【主人公】 牧瀬 紗良(まきせ さら)(女)【依頼人】 滝沢総司(男) 前回の続きからとなります、ニュアンス、読み方の変更などなど、自由にして頂いたら… フリー台本みたいな物なのでなんなりと…ご自由にお使いくださいまし ーーーー 牧瀬『……その日、私と滝沢様は……屋敷の敷地内にある丘の上、そこから……景色を眺めていた』 滝沢「……牧瀬……お前には、どう見える」 牧瀬「……ええと……それは」 滝沢「……直感的に……だ、どう見えるのか……お前に、この目の前に見える景色が…… ……どう感じたか、どう見えたか……答えてみなさい 何……試していると言う訳では無い……難しく考えるな……思ったままを答えてみよ」 牧瀬「……そう……ですね…… ……木々や草は……同じ緑に見えますが……、風に揺られ……陽の光に照らされる具合によって……同じ緑でも……、鮮やかに見えたり……影りで濃く深い緑に見えたりします…… ……風は……透明……かもしれませんが……、なんと言いますか……そんな風にも……まるで色があるようにも……見えてきます ……木や草花……基本はずっと同じ場所に咲き誇り……朽ちぬ限り変わりない物ですが……、同じハズなのに……決して同じではない…… ……そう……感じました」 滝沢「……なるほど」 牧瀬「……あの……何か……間違えてしまいましたでしょうか……?」 滝沢「間違え等……何も無い…… ……お前の目に見えたその、思ったままの純粋なるまでの……感性に従った感想 ……それはとても大事な事だ 今時の若い者……お前位の年頃の子らは特に、この様な風景を見ても……『退屈だ』と言う者が多いと思う…… だが……若い内だからこそ……その時だからこそ……見える風景……そう言った物がある、若い感性だからこその……な」 牧瀬『滝沢様は、何処か哀愁を漂わせていた……何か……寂しさを感じさせる様な』 滝沢「……大事にしなさい…… その……今感じた感性を見通せた【若い目】と言うのを…… その観察力を……決して……損なわぬよう……」 牧瀬「……はい」 牧瀬『……在りし日の、滝沢様との思い出を、突然に脳裏を過ぎった…… その時は……滝沢様が何故そのように問い掛けたのか……若い内に感性を大事にしろと言う老婆心(ろうばしん)からの助言だとばかり思っていた……けど ……だけど……違っていたのだと……【気がついた】』 来栖「……滝沢は……恐らく、苦しんでたんだ」 きー君「……一体何に……?」 来栖「……【老い】に、だよ」 僕「……老い?」 来栖「……滝沢は類い稀なる観察眼の持ち主で、常人では成せぬ再現力を作品に落とし込む天才だった ……だがそれが、次第に、年齢と共に老いが蝕み……失われていったのだろう…… ……この昭和時代の作品は……この絵に写された場所で直接描かれた作品だろう、だからこの様に……揺れ動く木々や草花の表現の凄まじさ……人々の躍動感……全てに息吹を感じる傑作になっている ……だが平成後期のこの作品……【普通の凄い作品】と言うのは……なかなか真をついた表現だ……確かに凄まじいデッサン力ではあるものの……【息吹を感じられない】…… ソレは何故か……、この風景の写る場所に……恐らく滝沢は……直接出向いてはいない……【その場で描かれた絵では無い】からだろう…… この風景もきっと……誰かプロのカメラマンが撮影した物を提供され……その【写真】を模写した……」 僕「……アトリエに籠るって言うのも」 来栖「……体力の低下……だろうな、最早自分から現地に出向き作品を仕上げるほど体力が無かった……だから籠るしか無かった…… ……作品数の減少も理由として説明が付く、全盛期の頃は……絵画、詩、短歌、花火、彫刻……などなど様々な作品で……数百品以上世に放っているが 平成後期に掛けて……その数は次第に減少して行き……最後の作品が公開されて今日まで……実に数年間だ……数年間の間……作品が公開されていない ……最早近年まで……作品を作る体力も……限界だった……そして……限界だったからこそ」 牧瀬『……体が震えていた……来栖さんが次に何を仰るのか……その言葉は……既に想像が出来ていたが…… それを改めて、耳にするのが……怖かった……』 来栖「……限界を迎えて……失われていたんだ…… 滝沢総司の真骨頂……作品に息吹を宿らせるのに重要だった能力……【観察眼】……それが……失われていた…… ……写真に写った風景を模写するのも困難な程に……目が老いた……【老眼】とも言えば良いか……」 牧瀬「……何故!」 僕「っ……牧瀬さん……?」 牧瀬「……何故……じゃあ……だとしたら…… 私達……私達……使用人に……滝沢様は……助けを求めなかったのでしょうか……?」 僕『……牧瀬さんは震えた声で、今にも泣き出してしまいそうな表情で、必死に耐えながら、そう問い掛けた 』 来栖「……それは……【偉大なる人間国宝】だったから……であろう ……それ故だ……弱さを……使用人達にも……世間にも……見せたくは無かった…… だから、最後は……一人になれる場所を選び……そこに籠り……自殺を測った…… 防音仕様で外にも音が漏れない空間で……銃モドキによる…… 周りに自分の【死の瞬間】を悟らせない、完璧なる【密室自殺】を……」 僕『……牧瀬さんは両手で顔を覆いながら俯き、肩を揺らしながら声を押し殺していた ……だけど、覆い隠す手の間から……雫が零れ彼女の膝の上に落とされていた……』 ーー続くーー

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#声劇

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