登場人物:ぼく(先輩) 形式:一人語り/朗読用台本 ---------------------------------------- ぼくは、アスファルトに残る雨の匂いを 吸い込んで歩いていた。 雨上がりのアスファルトから立ちのぼる匂い― その匂いに、名前があることを 君は教えてくれたよね。 "ぺトリコール" 朝の通学路。 前を歩く君の手から、シャボン玉がひとつ、 空へ舞い上がった。 虹色に光って、揺れて、すぐに消えてしまう。 触れられないまま消えるその儚さが、 まるでぼくの想いを映しているみたいで。 ただの雨上がりの朝なのに、 どうしてこんなに心がざわめくんだろう。 ぺトリコールとシャボン玉。 そのふたつに、君の笑顔が重なって、 ぼくは今日もまた、君に惹かれていく。 ---------------------------------------
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