「その後、お姫様と王子様は幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし。」 子供の頃は、何も疑わなかった。 好き同士なら、それで終わりなのだと思っていた。 でも、大人になって思う。 ――本当にそうなのだろうか? 価値観も、育った環境も、当たり前も違う二人が。 ずっと同じ方向を向いて生きていくのは、 存外、難しい。 たとえば食事ひとつ。 ずっと質素な暮らしだった人間が、 突然、豪華な食事を出されても。 最初は嬉しい。 でも、そのうち疲れてしまう。 高すぎる天井。 静かすぎる食卓。 慣れないナイフとフォーク。 「幸せ」のはずなのに、 どこか息苦しい。 逆も、きっと同じだ。 王子様だって、 急に庶民の暮らしへ降りてきたら。 コンビニの値段に驚いて、 終電を気にして、 節約を覚えて。 クーポン券を使う王子様なんて 出来の悪い、コメディ見たいでしょ? きっと最初は、 “愛があれば大丈夫”なんて歌い踊って始めるけど。 生活は、 想像よりずっと細かくて、地味だ。 好きだけじゃ越えられないことが、 驚くほど沢山ある。 皆が幻想を抱く 童話のその後は。 案外、誰も語りたがらないだけなのかもしれない。
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