題名『至高のバッド・エンドを、君に。』 少年ボイスイメージ。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 **¨*•.¸¸⋆** 大きく広い、豪邸の一室……の、その更に奥。 主(あるじ)しか知らない秘密の通路を抜けた先に、場所に不釣り合いなほど豪奢(ごうしゃ)な扉が、1枚あった。 扉に鍵を差し込み回すと、ガチャリと錠の開く音が鼓膜を揺らし、取っ手を引けば、年季の入った蝶番(ちょうつがい)が、実に気だるそうにギギィと鳴いた。 「動くな」 引き金に指を掛け、狙い澄ましながら放った声は、銃というよりもナイフのように冷ややかで、ひどく無機的だった。 それを【一人称】は、どこか遠くの方で聴いているような気分に陥(おちい)った。 【一人称】の声に顔をあげたターゲットと、目が合ったその瞬間、撃ち抜かれたのは……、【一人称】の方だった。 「へぇ、お姉さん綺麗な顔してるね。 なに?あのオヤジの隠し子?それとも商品?まさかペット?」 一歩ずつ彼女に近づいて行くと、特に怯(おび)えた表情も見せないまま、変わらず彼女はソファに座っていた。 あれ?この瞳の色と、プラチナブロンドの巻き毛……。 もしかして、失われた王家の血筋の生き残り? 「あ、自己紹介がまだだったね。 【一人称】の名前はミカレフ。 この家の持ち主と敵対していたマフィアの一員だよ。 ミカレフって名前をつけてくれたのは、ママンじゃなくて、うちのドンなんだー。 【一人称】ねー、貰われっ子なの。 ドンと初めて会った時、名前を訊(き)かれてね、無いって言ったら、ドンが恐れ多くも、“【二人称】は大天使・ミカエルに似てるな”って言ってくれてね。 それと、【一人称】が最初に興味を持った銃がトカレフだったから、ミカレフって名前を、【一人称】に付けてくれたんだ」 あ、お姉さん……かすかにだけど、笑った。 あまりに無反応だから、耳が聞こえてないのかと思ったけど、そうじゃないみたいだ。 ま、レディだからって、全員が全員おしゃべり好きって訳じゃないよね。 「でさぁ、実は【一人称】の役職はね?アサシンなんだ。 ヒットマンや鉄砲玉とかとも言われるけど、要するに『暗殺者』なの……」 マズルでお姉さんの顎(あご)をなぞってみると、お姉さんはビクリと震えた。 だけど、その震えの意味が、恐怖ではないということを、【一人称】はなんとなくだけど理解した。 「あー、ゴメン。冷たかったね? それにしてもお姉さん、【一人称】ピストル突き付けたのに、全然怖がらないんだねー。 足枷(かせ)ハメられたり、足の健切られてるって訳でもないんでしょ? なのに逃げないんだ?なんで? もしかして、殺されたかったとか?」 【一人称】の質問に、お姉さんが首をタテに振った。 「え……嘘でしょ?マジで?変なの~」 そう言って、当てていたピストルをお姉さん離すと、お姉さんは顔を上に向け、【一人称】を見た。 【一人称】は立ったまんまだったから、座っているお姉さんよりも、頭の位置がいくぶんか高いわけで……。 つまりは、お姉さんが自然と上目遣いで、【一人称】を見つめて……。 「ん゛ん゛っ!」 ヤバッ、変な声出ちゃった……!ついでに変な汗出て来ちゃった……! えっと、どうしよ……!何か話題を……。あ、そうだ。 「あ、あのね、【一人称】、ドンに気に入られててさ、結構ワガママきいてもらえるんだ。 それでね、今回、襲撃成功したから、きっとご褒美(ほうび)貰えると思うのね? お姉さんは、殺しのリストに入ってないし、 もしかしたら、殺したら僕がドンに殺される案件が絡んでるかもしれないし、 取り敢えず、生かしてドンのとこに連れてくから!いいね!? でも、騒いだら殺すかもよ!わ、分かった!?」 急にわたわたしだした【一人称】を見て、お姉さんは、花のように綺麗な顔で笑い、そして静かにそっと頷いた。 それは【一人称】がお姉さんを、絶対に死なせないと誓った瞬間だった。 **¨*•.¸¸⋆** 本文は以上です。 以下、おまけ。 **¨*•.¸¸⋆** ①「ヘっ!?お、お姉ちゃん!?なんでお風呂入って来てるの!? は?サカキとエンジュに、【一人称】の背中流して来いって言われた? あいつ等ァ……。ハチの巣にした後、ブタのエサにしてやる!」 ②「ちょっ、お姉ちゃん!?雷怖いからって、毎回毎回、【一人称】の布団にもぐり込んで来ないでよー! ぼ、【一人称】だって、れっきとした男なんだけど!? て、もう寝てるし。もー。いつか絶対、今夜の事、後悔させてやるぅ……」 ③「お姉ちゃん、ピーマン好きだよね?【一人称】のピーマンあげるー。 お姉ちゃんのトマトと交換こしよ?ね?いいでしょ?」 ④「すみません、ドン! オレ、もう……ドンとファミリーの為に、命かけられそうにないっす。 鉄砲玉、失格っすよね……。 でも、オレ、ここしか、この世界しか知らないんで……、ファミリー追放されたら、どうすればいいか分かんねぇ……! けど、あの人をこれ以上、危険にさらしたくないんす! ドン、オレの最後のワガママ……、きいてくれますか!?」 **¨*•.¸¸⋆** 台本は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。 おまけ一つから投稿OKです。お気軽にお使い下さい。 なおドンはミカレフ達に、家とカタギの仕事をプレゼントする支度を、数年前からしてました。向こうから言い出すのを待ってました。真っ当な職について、幸せにな~れ。
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