登場人物:先輩・後輩くん 形式:掛け合い/朗読台本 ※先輩:低音ボイス。 ※後輩くん:甘めボイス。 (あくまでイメージです。) ------------------------------------------------------------------- 【赤】初春の早朝 (先輩) 赤い朝の光が カーテンの隙間を縁取っている。 休日なのに早く目が覚めてしまった。 彼を想う。 まだ何も始まっていないけれど 心のどこかで何かが動いている。 (後輩くん) 窓を開けたら空気がやけに新しくて。 今日がちょっと違う気がした。 先輩と会える日。 それだけで心が軽くなる。 その気持ちがどれくらい特別かは 知らないふりをしておこう。 ----------------------------------------------------------------- 【橙】春の朝 ※橙(だいだい):オレンジ可。 (先輩) カップに注いだコーヒーの湯気が 橙色の光に揺れている。 鏡の前で整えた髪が落ち着かない。 彼にどう見られても構わないと 思っていたはずなのに。 (後輩くん) 時計の針がいつもより速く進む。 服を選ぶ時間がやけに楽しい。 どうでもいいようなことばかり浮かんでくる。 会う前からすでに満たされている自分がいる。 ------------------------------------------------------------------- 【黄色】初夏の昼前 (先輩) 陽射しが黄色く差して街が少し眩しい。 待ち合わせに向かう足が勝手に速くなる。 彼の歩幅を思い出す。 それだけで嬉しいと思ってしまう自分に 少し照れながら。 (後輩くん) 人混みの中で先輩の影を探す。 それだけで胸が騒ぐ。 先輩の姿だからこそ いつもすぐに見つけられる。 聞こえないように 心の中で小さく名前を繰り返す。 --------------------------------------------------------------------- 【緑】夏の昼下がり (先輩) 木陰の緑が濃くなっていく。 風が抜けるたび彼の笑い声が混じる。 隣にいる時間がこんなに穏やかで怖い。 手の届く距離にいられるだけでいい。 (後輩くん) 陽が高くて風が気持ちいい。 先輩がそばにいるだけで空が広く見える。 このまま時間が止まったらいいのに。 でも止まらなくても ちゃんと追いつける気がする。 -------------------------------------------------------------------- 【青】初秋の午後 (先輩) 空が深く澄んで 青がやけに静かに見えた。 君と歩く道が少しだけ近く感じる。 肩が触れて 心が落ち着くより少し震えた気がした。 それが答えかもしれないと思った。 (後輩くん) 風が冷たくなって 手のひらが空を恋しがる。 隣にいるとそれも悪くないと思える。 ずっと探していた距離に ようやくたどりついた気がする。 ----------------------------------------------------------------- 【藍】秋の夕方 (先輩) 街の灯りが滲む。 藍色が沈む前の空を君と見ていた。 言葉が喉の奥で揺れて出てこない。 君の指先が少しだけ動いて ぼくの袖に触れた。 それだけで全部伝わった気がした。 (後輩くん) 陽が落ちていくのが惜しいと思った。 もう少しこのままでいたい。 触れた袖のぬくもりが心の奥まで染みる。 静かなまま夜の始まりを待つ。 それが今のぼくらにちょうどいい。 ------------------------------------------------------------------- 【紫】冬の夜 (先輩) 紫の夜の空気が街を包んでいた。 吐く息が消えても君の体温が残っている。 誰かのことを想うことが こんなに優しいなんて。 (後輩くん) 街灯の光が滲んで世界が少し柔らかい。 隣りを歩く足音が心地いい。 ただ同じ方向を向いていれればいいと思えた。 このままふたりで冬を越えていける気がする。 -------------------------------------------------------------------- ※参考:掛け合い朗読台本 「七色の休日①―想いから光へ―」 https://coemee.com/topics/Q4GlOtcPgegrRUOavWz5P --------------------------------------------------------------------
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