《作者より》 Xで行われたタグ企画『雨音に恋をする』 参加作品です。 《ルール》 思い思いの解釈で、自由にお楽しみください。 一人称や言い回しの変更もOKです。 《お知らせ》 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローのほど宜しくお願いします。 ***《ここから台本》*** 雨上がりの帰り道。 私は俯いたまま、濡れたアスファルトを見つめて歩いていた。 好きな人には恋人がいた。 ただ、それだけのことだ。 誰が悪いわけでもない。 だから余計に、やり場がなかった。 ふと、大きな水たまりの前で立ち止まる。 その水面には、月が浮かんでいた。 こんな夜くらい、少しは曇ってくれていいのに。 それは憎らしいくらいに綺麗だった。 私はしゃがみ込む。 月に触れられそうな気がして。 そっと顔を近づける。 その時だった。 ぽつり。 水面に落ちた雫が、月を揺らした。 あぁ、なんだ。 私、泣いてたんだ。 触れれば壊れる光。 それは彼との距離によく似ていた。 近づきたかった。 触れたかった。 でも、届かないから綺麗だったものもある。 揺れる水面を見つめながら、私は静かに立ち上がる。 崩れた月は、時間が経てばまた美しさを取り戻すだろう。 だが私の中の月は、もう同じ姿には戻らない。 だからきっと、これでいいんだ。 私の中の月も、綺麗な部分だけを映して 雨がそっとすくい上げてくれるだろう。 ***《ここまで台本》***
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