アレンジ、改変、アドリブなどお好きにどうぞ。 楽しく演じる全ての人を応援しています。 黒須木ヤトのXでは他にも多数の無料作品を公開・発信しています。 宜しければお気軽にフォローいただけましたらお迎えにあがります。 余談ですがこちらは別作品【一輪挿し】のアナザーverになります。 いつもならどちらかのシチュエーションに絞るのですが…今回絞りきれず2パターン作ってみました。 ***** 【一輪だけのお花屋さん】 その日は風が心地よくて 光の透き通る綺麗な午後だった。 気晴らしのつもりで訪れた公園。 その木々の間に、座り込んでいる女の子がいる。 ランドセルよりも、まだ少し小さな背中。 女の子はそっとうつむいて 手のひらに乗せた一輪の花を見つめていた。 「どうしたの?」 そう声をかけると 女の子は驚いたように顔をあげたが、すぐに 花のような笑みを浮かべた。 「今ね、お花屋さんをしてるの。 でも、今日はこの子ひとりしか 連れてこれなかったの。」 小さな手の中の花は、やわらかな日差しを浴びて 少し照れているかのように揺れた。 「この花が咲いていた時間、ずっと見てたの。 だから、誰かにちゃんと渡せたら、それでいいの。」 その瞳は無邪気な優しさに溢れ 気付けば私の心の奥に積もっていた 埃をひとつ落としてくれたような気がした。 女の子は花を差し出しながら、小さな声で言った。 「一輪だけでもね、誰かの心に咲けば それってすごいことなんだよ。」 fin. *****
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