題名:過去作『月』詰め合わせ 秋の長夜、月見の共にでもどうぞ……。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 ☁ 🌕☁ 題名『望月恋時雨(もちづきこいしぐれ)』 『月と恋は満ちては欠ける』というのはポルトガルの諺(ことわざ)〔だが/であるが〕、全くもってその通りだと思う。 今は、いつ欠け始めるか解らない満月〔という/な〕だけ。 だから、もし許されるのならば……せめてこの思いが欠け始めるまで、もう少し、【二人称】の事を好きで居させて下さい。 ☁ 🌖☁ 題名『傷月(しょうげつ)の歌声(うたごえ)』 数多(あまた)の傷を負いながらも、美しく光り耀(かがや)く月のように、 【二人称】は、またそうやって、そんな声で歌うから、 【一人称】は時々、堪(たま)らなく苦しくなるんだ……。 ☁ 🌗☁ 題名『森月ノ夜咄(しんげつのよばなし)』 ずっと昔の話だ。 【一人称】がまだ、〔学生鞄/ランドセル〕を背負っていた頃、故郷の森で一番高い桂の木の天辺(てっぺん)に、お月様が引っ掛かっているのを見つけた。 すると【一人称】の心は、静かな夜の森の中へと、駆け出して行ってしまった。 それから、〔未だに/ずっと〕戻って来ていないんだよ……。 ……嘘っぱちだ夢だと言って、【二人称】も【一人称】を莫迦(ばか)にするんだろう? いいさ、分かっているよ。それを承知の上で【一人称】は、【二人称】に話したんだ。 なんでだか分からないけど、【二人称】にはどうしても、話さなくっちゃいけない気がしたんだ……。 だがね、自分の身体の中から、何かが抜け出ていった感覚を、確かに覚えているんだ……。 〔しかし/でも〕、大人と子供では見える世界が違うから、よしんば戻って来ていたとしても、気が付いていないだけなのかもしれないな……。 ☁ 🌘☁ 題名『影幻之月(かげんのつき)』 引き寄せて、抱(だ)き留(と)めようとしても、【二人称】は、するりと抜け出(い)でて、決して捕(つか)まえさせてはくれない……。 どうしたら【二人称】は、【一人称】の腕の中に、大人しく収まってくれる〔の/のですか/んだ〕? ☁ 🌑☁ 題名『眠りの森』 『眠りの森』とは聞いていたが、凄いな。 この森は月さえも眠らせるのか。 おや、すまない。起こしてしまったか。 いやね、頗(すこぶ)る付きの美(い)い男が寝ていたものだから、悪い奴に乱暴されやしないかと、見張っていたのさ。 だって【二人称】、美術品のように麗しいんだもの。 夜の闇を思わせる黒髪に、月の様に白い肌、黒曜石の様に輝く瞳。とても綺麗で、すっかり魅了されてしまったよ。 あまりに人間離れした美しさだから、東の国で編まれた物語に出て来る、月に棲む仙人『桂男(かつらおとこ)』かと思った位。 ああ夜空に返したくないな。 ねぇ、如何したら【二人称】を【一人称】だけのモノに出来る? ――一目見たら、もう虜。 その毒のような魅力に、何人たりとも抗えはしない。―― ☁ 🌒☁ 題名『玉兎(ぎょくと)』 ほぉ……随分賑やかだと思うたら、そういう事かえ。 何時の世にも、やはり悪党はおるものじゃの……。 これ、何処へ行く気じゃ? 未だ【一人称】の話は終わっておらぬぞ。お~い! ……全く、せっかちな若者達じゃわい。 否、若者とは元来せっかちなものであったか。 これはしたり。当たり前の事を申してしもうたな。 ……さて、逃げた者達への仕置きは、後できっちりするとして、先に【二人称】の傷の手当てじゃな。 災難であったな。 見たところ、骨も筋(すじ)も痛めてはおらぬようじゃが……、どれ……。 う~む……、万が一の事も有るゆえ、【一人称】の住処(すみか)でしっかりと診たいのじゃが、連れて参っても構わんかの? ……案ずるな。 薬の調合はお手の物じゃし、こう見えて、現代医学にも明るいのじゃぞ? ……左様か。 しからば、しばしお手を拝借。 《間》 いやぁしかし、今宵が素晴らしい満月で良かったわい。 曇っていたり霧が出ていたりしておったなら、こうして助けおおせなんだやもしれぬ。 【二人称】は運が良かったの。 そして、【二人称】の様な見目も心も美しい人間と出会えた【一人称】も、また運が良かったわい!《豪快に笑う》 さぁて、着いたぞ。足下に気を付けてな。 では、早速診察に取りかかるかの。 傷の具合を診て見ぬ事には、薬の調合もへったくれも無いからの。 ……ん?どうした? ……此処か?見ての通り、『月』じゃが? 🐥台本一口メモ✒ ☆『神異記』に「月中に玉兎あり、杵を持ちて薬を擣く」とあり、月には仙薬が伝わっていて、その材料にする薬草を杵でつき砕いて薬を作るともある。(byウィキ先生) ☁ 🌓☁ 題名『ブルームーン』 カクテル言葉:叶わない恋、完全なる愛。 「好き」 そうたったひとこと言った途端に、涙が零れ落ちた。 一度零れ落ちた後は、もう止まらなかった。 こんなに泣いたのはいつぶりかと思う程、しゃくり上げながら泣いた。 そして気が付いた。 【一人称】自身が、どんなにか「好き」という感情を、言葉にして吐き出したかったかという事を。 更に、【一人称】自身が、どんなにか【二人称/三人称】の事を、「好き」かという事を。 「告げた所で、一体〔どうなる/どうなるというの〕? こんなの、徒花(あだばな)も良いとこ〔だろ/でしょ〕。 あーあ、ほんっと……〔勘弁してくれや/勘弁してよ/堪らないや/堪んねえわ〕……。」 ☁ 🌕☁ 題名『お前の心を射止めたい』 ①《溜息》 なぁ……。一体いつになったら、【二人称】を独り占め出来るんだ? いつまでも無理難題ばっかフッかけて逃げてねぇで、いい加減諦めて、大人しく【一人称】だけのモンになっちまえよ……。 【一人称】なら、月までだってお供するぜ? だから……、な? 【一人称】を選んでくれよ……。 後悔はさせねぇぜ? ②《溜息》 ねぇー……、一体いつになったら【二人称】は、【一人称】だけのお姫様になるのかなー? その無理難題、いつまで吹っ掛け続けるつもり? ま、逃がす気なんかさらさら無いんだけど……《微笑》 ……もうさぁ、そろそろ観念してさ、大人しく【一人称】だけのお姫様になってよ……。 【一人称】〔だったら/なら〕、月までだってお供するよ? だから……、ね? 【一人称】を選んでよ……。 後悔なんてさせないからさ? ☁ 🌖☁ 題名『願い星。叶え月。』 流れ星に願い事か? 風情があって大いに結構。 だが……、気に食わんな。 あんな燃え尽きかけの、石ころになど願うな。 願うなら、この【一人称】に願え。 十七夜の『立待月』と二十三夜の『下弦の月』にな。 ……む。その顔、信用していないな? 『十七夜月』と書いて、『かのう』と読む難読名字があるくらいだ、心から願い、行動すれば叶うさ。 きっとな。 ☁ 🌗☁ 本文は以上です。ご覧頂き誠に有難う御座いました。
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